先月、人気カップ焼きそばのペヤングから「アップルパイ味」が発売された。しかし、“問題作”や“おいしくない……”といったような、ネガティブな評判も広がっているのが現状のようだ。

◆なぜ、奇抜な商品を?

 ペヤングは安定的に人気の定番「ペヤング ソースやきそば」があるのにもかかわらず、これまでにも、食べられないほど激辛や酢コショウ味など、パンクな味付けの商品を連発している。なぜこんな商品展開をするのか、その理由と信念を、まるか食品株式会社の製品開発担当である小島裕太さんに聞いた。

「いろんな味付けの商品を出していますが、それが話題になることで、いろいろなところで話のタネにしてもらいたいですね。何より『ペヤング』という名前が、多くの方の目や耳に触れて欲しいという気持ちです」(小島さん、以下同じ)

 実は、あまりにも奇抜な展開ゆえに「奇抜なペヤングの隣に普通のペヤングを陳列すると、普通のペヤングが売れるから」というマーケティングがある……なんて噂を耳にしたことがあるが、それは事実なのだろうか?

 これについて小島さんは「そういったことはないのですが、最終的に『ペヤング ソースやきそば』をたくさんの人に食べてもらいたいという思いはあります」と話す。すべては、あの美味しいプレーンなペヤングのためだったのだ。

◆衝撃の味を体験

 まるか食品が先月発売した「ペヤング アップルパイテイストやきそば」。焼きそばにもアップルパイにも無関係に思える、意味不明な宇宙がデザインされたパッケージがコンビニやスーパーの店頭に並ぶと、怖いもの食べたさの人々が購入を急いだ。しかし、SNSに投稿される反応を見てみると、“意外とうまい”という投稿は一部に見られるものの“ここまで箸が進まない焼きそばは初めて” “よく商品化したな!”といった否定的な意見が中心。

 筆者もまずは実際に食べてみることにした。袋を開けると出てくる「かやく」の袋には、おなじみのキャベツや肉はなくリンゴのみ。病気の小鳥に食べさせるもののようだ。かやくをカップに開けて湯を注いで3分。湯切りしてアップルパイ味の決め手となるソースを混ぜる。

 今から食べるのが焼きそばだとは信じられないくらい、シナモンを中心とした甘い香りが広がる。麺もソースもリンゴも、全てが近似的な色味なので、全体にキレのないベージュ色で食欲はそそられない。

 そして一口。まずくはない。けれども、それ以上ではないと感じた口に吸い上げられるのは、紛れも無いペヤングの麺の食感なので、条件反射で塩気を求めてしまうが、口の中に広がるのは甘い味と香りばかりだった。

◆アップルパイ味はアレンジで生まれ変わるのか?

 ペヤングの底力は、あらゆるちょい乗せやアレンジを受け止める懐の広さにある。160種類ものアレンジを紹介する「ペヤング本」(ロングライドジェイ有限会社)なるものまで発売されている。このレシピ本に紹介されているアレンジの1つ目が「バニラアイス」であるのも、ペヤングらしい。

 まず試したのは、ふりかけ(味道楽)だ。ノーアレンジのアップルパイ味を食べた時に物足りなかった塩気が、このふりかけで補われている上に、焼きそばにつきものの鰹節の役割まで果たしている。しかし、後ろから追いかけてくるリンゴの味と相性がいいとは言いにくいものだった。

 次に試したのはとろけるチーズ。リンゴとチーズをワインのアテにすることもあるので、いけるかもしれない。たっぷり目にかけてレンジで30秒温めると、チーズがとろけて見た目には美味しそうになった。食べてみると確かに相性は悪くないが、求めている塩気が足りないし、焼きそばである意味が全くわからない。

 最後に「リンゴとハチミツ」というテレビCMの文句が頭をよぎって、カレーを試してみた。驚くべきことに、スパイシーなカレーにアップルパイソースがコクを与えていて、素晴しい調和だった。甘みが強まるのでチリペッパーを足すと、それで完成と言えるような「カレーやきそば」が誕生した。そこに、とろけるチーズを乗せてみると、さらにコクが深くチーズの旨味も加わって、美味しく完食することができた。

「ペヤング アップルパイテイストやきそば」を食べてわかったことは、チーズカレーがなかなか美味しいということだ。そして食後、まんまと「ペヤング ソースやきそば」が食べたくなってしまった。

 奇抜な商品を発売するメリットは、確かにあるのだろう。<取材。文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。