歌舞伎俳優片岡仁左衛門(75)が15日、福岡・太宰府天満宮を訪れ、東京・歌舞伎座「二月大歌舞伎」(2〜26日)の「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」の成功祈願を行った。

菅丞相(かんしょうじょう=菅原道真)を演じるのは95年の初演から6回目。仁左衛門は演じるたびに同天満宮を訪れる。祝詞の際、曇り空からぱっと日が差し「気を感じました。理由は分からないけど涙が出てくる。身も心も洗われました」。

毎回奉納している絵馬には「神心我遵(しんしんがじゅん)」と記し、梅の木に掛けた。仁左衛門は「芝居をさせてくださる神様がいらっしゃる気がします。生きるも死ぬも人間は神様の掌(たなごころ)の中。御心に従いたい」と、心境を語った。

平安時代、政争に敗れ太宰府に左遷された道真は、没後、天神様、学問の神様として信仰の対象となった。この日も同天満宮は多くの人でにぎわい、仁左衛門は「皆様をがっかりさせないようつとめたい」と気を引き締めた。

道真の複雑な心情表現、木像になりきる場面などもあり「演技や技巧は通じない。内面からもっていかないと」と言う難役。牛は道真の使者であるため、稽古から千秋楽まで牛肉を断つなど、心身を清めて挑む。

祖父、父が得意にしてきた役で、今回は、父13代目仁左衛門の二十七回忌追善として上演される。仁左衛門は「父がすてきな強い根っこでしたから、その上にどういう花を咲かすか。基本的には父の(型)を踏んでいますが、模写ではだめ」と、積み重ねてきた芸を見せるつもりだ。

片岡孝太郎、片岡千之助との親子孫共演もある。【小林千穂】