“破天荒のナスD”ことテレビ朝日友寄隆英ディレクター(45)が、今度はヒマラヤに飛ぶ−。同局の開局60周年記念「氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間」(3月8日放送、午後9時)で、ヒマラヤの秘境に住む部族の生活をとらえた。このほど友寄氏が日刊スポーツの取材に応じ、「ディレクター人生の集大成」と番組にかける思いを語った。

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バラエティーのイメージが強い友寄氏だが、今回は正統派ドキュメンタリーを意識した。「打倒NHKです。ちゃんとした取材ディレクターとしての部分を見せたいです」と意気込む。

片道1カ月を要するヒマラヤ最奥の聖地、ネパール・ドルポの部族を訪問。18年10〜19年12月の間に4回現地に渡航し、計150日取材した。標高4000メートルに位置し、完全孤立するドルポの厳冬期を映像に収めるのは初めて。同地の取材経験を持つ「ニュースステーション」元ディレクター、大谷映芳氏(73)もガイドとして同行した。

荷揚げのために秋を費やし、4人の取材チームは渡航のたびに脱落者が出るなど苦難続き。しかし、つらさはないようで「無人島もアマゾンもしんどいと思ったことないです。東京の方が酸素濃度薄く感じちゃう」と笑う。カメラは茶一色の土地に水を引いて緑が芽吹き、雪が積もるまでの四季の移ろいを映す。当初は「特番なんか撮れるかな」とほこりっぽい地面に不安が募ったが、長期取材ならではの変化を体感。「撮影が終わって、その乾燥した大地がいとおしいと思えたんです。四季を通して大地で生きている人たちを見てもらいたいと思いました」。

ヒマラヤ取材は夢の1つだった。16年に担当番組「いきなり!黄金伝説。」が終了し、「テレビ朝日の粗大ごみになってしまった」と居場所がなくなったように感じた。当時の上司に海外取材の希望を伝えると、交換条件のように「出演してみろ」と言われ、アマゾンで今日の「ナスD」が誕生することになる。

自分が体を張るのは、タレントを刺激したいという思いがある。「『スタッフでもあんだけやってるんだから、俺らもやらないと』と思ってもらえれば、テレビが活性化するのかな」。際立つ個性が注目されるが、あくまで本業はディレクター。出演するのは「毎回最後」と思っている。“破天荒”を期待する声も分かってはいるが、「今回はある意味裏切ってしまうかも。でもその裏切りを超えるものを作らないとダメ。今までのディレクター人生の集大成です」。

○…ディレクターとして出演した同局系「陸海空 地球征服するなんて」でアマゾンの部族を取材した際、染料の原料となる果実を体に塗りたくり、その後全身をナスのように真っ黒に染めたことから番組内で「ナスD」と呼ばれるようになった。釣ったばかりの川魚を丸かじりし、濁った川の水をためらいなく飲むことなどから「破天荒のナスD」とも。18年末放送の同局特番「無人島0円生活」では74時間不眠不休で活動。

◆友寄隆英(ともより・たかひで)兵庫県出身。フリーのディレクターとして活動後、09年テレビ朝日に中途入社。「いきなり!黄金伝説。」など挑戦系番組を多く手掛け、現在はゼネラルプロデューサーとして「帰れマンデー見っけ隊!!」「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」などを担当。