新型コロナウイルス感染拡大で全米のほぼ全ての映画館が閉鎖され、新作映画の公開が次々と見送られている中、収束ムード漂う中国では21日に国内の4.47%に当たる507館の映画館で営業が再開されました。中国では感染が拡大した今年1月中旬から映画館が次々と閉鎖に追い込まれ、中国での興行収入を期待していたディズニーの「ムーラン」や「007」シリーズ最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」などが公開の延期を発表していました。感染者数が減っている地域で一部の映画館が約2カ月ぶりに営業を再開したものの、新作映画の上映はなく、過去にヒットした愛国映画や昨年アカデミー賞作品賞を受賞した「グリーンブック」、子供向けのアニメや「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001年)など過去のハリウッド映画が再上映されたようです。一方で新たな感染者が出ていないことを理由に16日に一足先に営業が再開された北西部の新疆ウイグル自治区にある映画館では、入館前の体温検査やマスクの着用が義務付けられるなど感染防止対策が取られているものの客足は鈍く、ほとんど観客がいない状態だと言われています。

中国では営業再開の兆しが見える中、感染者数が急増しているアメリカでは、カリフォルニアやニューヨークなど多くの州で映画館の営業が禁止され、映画の都ハリウッドを有するロサンゼルス(LA)でも全ての映画館が閉鎖されています。そんな中、ジワジワと注目を集めているのがドライブインシアターだといいます。屋外に設置された巨大なスクリーンの前に車を駐車させ、車内で映画を鑑賞できるドライブインシアターは1930年代に誕生し、全盛期だった50〜60年代には全米で4000を超えるシアターがあったそうですが、時代と共に衰退して現在は300強しか残っていません。しかし、昨年公開されたブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオ主演で60年代後半のハリウッドを舞台にした映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に登場したことなどもあり、ノスタルジックで新しい体験ができると当時を知らない若い世代の注目を集めていました。

そんな中、今回の新型コロナウイルス感染で多くの映画館が閉鎖されたことで、映画や娯楽を求める人たちによって再び脚光を浴びているとLAの地元テレビ局が伝えています。報道によると他人とまったく接触せずに車中で映画が楽しめるドライブインシアターの需要は増えており、テキサス州ヒューストン郊外にあるドライブインシアターでは先週末に40%もの売り上げ増を記録したといいます。普段は新作映画の公開がない週末は売り上げが激減していたというドライブインシアターですが、映画館やショッピングモール等多くの娯楽施設が閉鎖されたことで、車内で映画が見られる施設に注目が集まっているようです。

ドライブインシアターは夏季のみ営業する所も多く、現時点でオープンしている施設は限定的だといいますが、チケットの確認の際に従業員が手袋を着用したり、チケットの販売をオンラインに限定したり、お手洗いの利用を制限するなど他人との接触を最低限にする感染防止対策を取った上で一部のドライブインシアターは営業を続けています。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のロケ地にもなったLA郊外のパラマウント・ドライブインシアターでは先週、ディズニーの「2分の1の魔法」を上映して通常の2倍の売り上げがあったといい、「どこの施設も全て閉鎖され、何もすることがないという人たちが来ているのでしょう」と売り上げ増の要因を分析しています。

自宅でネット配信サービスを楽しむ人が増えている一方、他人と社会的距離を保ちながら大画面で映画が楽しめるドライブインシアターは再ブーム到来の兆しを見せています。