ドラマ、舞台で活躍する個性派俳優の松尾諭(44)の自伝的エッセー「拾われた男」(文芸春秋)が、29日に出版される。

文春オンラインに連載されたもので、文章だけでなく、挿絵も描いた。「3年前に酒席で『書いてみませんか』と持ちかけられ、文章を書くなんて恐れ多いとは思いつつも、40歳を過ぎて新しいことに挑戦してみたいと引き受けました」。

自販機の下で航空券を拾い、落とし主がモデル事務所の社長だったことから事務所に入ったエピソードに始まり、振られた回数13回、落ち続けるオーディション、借金地獄にいた男が大役を手にし、かかってきた1本の電話でアメリカに旅立ち、そこで何年も会っていなかった兄と再会するなど、七転び八起きの半生を描いた。

「『どうして役者になったの?』と聞かれて、何度も同じ話をするのは面倒だったので、書いてしまえば説明する手間が省けると、いつもしゃべっている内容を文章にしました」。17年にエッセーが文芸誌「文學界」に掲載され、その後の連載が書籍化された。「今でもまだ信じられません。一人でも多くの方々に読んでもらいたい、と偉そうなことは言えませんが、せっかく出版したので、とりあえず手にとって頂ければ幸いです」と話している。【林尚之】