【芸能界クロスロード】

 最近、10代の女の子の間では木村拓哉を「かっこいいおじさん」と呼んでいるそうだ。こんな話が話題になるのも、キムタクへの関心度の高さ。

 アイドルのなかでも別格といわれたキムタク。年を重ねても一向に変わらない存在であることを再認識する。そんなキムタクもすでに47歳。2人の娘を持つ立派なおじさんだが、いまだにアイドルというイメージで見られている。

 SMAP解散から丸3年。木村は俳優業に軸足を置いて活動しているが、依然として「何を演じてもキムタク」の評が変わらないのも、アイドルのイメージを引きずっているからに他ならない。課題は、いかに「脱アイドル」を図っていくかにあったが、ようやく変化が見られだしたのは昨年。本格的に始めた俳優業は映画「マスカレード・ホテル」でホテルマン。年末にはドラマ「グランメゾン東京」(TBS系)でシェフ。年明けは「教場」(フジテレビ系)で教官とタイプの違う役をこなした。

 とりわけ目を引いたのは髪形。裾を刈り上げた七三分け。軽くパーマを当てワイルド風。教官役の白髪。「かっこいいおじさん」は「教場」の宣伝の一環とのうがった見方もあるが、アイドル色を一新する効果は十分にあった。

 こうした一連の動きから、木村は俳優として新たな段階に進もうとしているように見える。

 昭和の大スター・高倉健さんと重なるものがある。

 健さんは東映専属時代、「ヤクザスター」と呼ばれ東映の看板になったが、ヤクザ役のイメージが色濃く残った。これを健さんは嫌い、45歳の時に独立。新たな作品に挑戦。1年後に「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」で新境地を開拓。ヤクザ映画では男性ファンが大半だった健さんだが、幅広い年齢層から支持されるようになった。

 健さん46歳の時である。期せずしてほぼ同じ年になった木村も俳優として新たな顔を見せた。アイドル全盛期だった頃の木村を知らない10代の女の子が“かっこいい”と褒める。新たなファン獲得に手応えあり。また、アイドル色の強いキムタクに少なからず抵抗があった男性や中高年も、「キムタクのドラマは面白い」と評価は上がっている。昨年から続く作品選びは抵抗感を和らげる効果はあった。とりわけ、3作品とも恋愛色がなかったことも好感が持たれた一因だろう。今年はソロ歌手としての活動も始まる。先日、新宿の街頭でゲリラライブを敢行した。アイドル時代では考えられないことだったが、これも脱アイドルを図る一環と思う。こうした一連の動きは何を意味するのか、芸能関係者に聞いた。

「独立した元SMAPの3人に対する対抗意識が根強くある。特に今年は地上波進出が確実視されているだけに、見る側は自然に比較してしまう。特にドラマは視聴率がでるだけに、自然に勝ち負けで見てしまいがち。木村本人よりも事務所が3人には負けられない気持ちが強くなるのでは」

 春には新たなドラマも始まる木村。俳優と歌手の二刀流でどう進化していくのか、令和の木村拓哉に注目が集まる。

(二田一比古/ジャーナリスト)