【テレビ 見るべきものは!!】

 20日夜、内野聖陽主演「スローな武士にしてくれ〜京都 撮影所ラプソディー〜」がNHK総合で放送された。

 京都・太秦にある映画撮影所が、NHK放送技術研究所から依頼を受ける。最新機器を駆使して実験的な時代劇を撮りたいというのだ。お題は「新選組池田屋騒動」。大部屋俳優の村田茂雄(内野、好演!)が近藤勇に扮し、同じ大部屋の朽木城太郎(中村獅童)たちを相手に、誰も見たことのない殺陣に挑んでいく。

 主な見どころは2つだ。まず時代劇の制作現場の裏側がドラマになっていること。監督(石橋蓮司)やカメラマン(本田博太郎)をはじめ、いずれも頑固な高齢者ばかりだが、いい作品を作るためなら命懸けということでは共通している。それは大部屋俳優たちも同じだ。

 もうひとつが驚異的映像のオンパレードである。技研の主任、田所(柄本佑)が時代劇オタクであることから、池田屋の階段落ち、路上での13人斬り、竹林の中で展開される大勝負(敵役は里見浩太朗!)といった見せ場が並ぶ。中でもスーパースローの美しさは格別だ。

 斜陽といわれて久しい時代劇を守り続けるスタッフや俳優たち。彼らの狂気と紙一重のような情熱、そして矜持と哀歓。作・演出の源孝志はこの作品と「怪談牡丹燈籠」により、文化庁主催の令和元年度「芸術選奨」放送部門で、文部科学大臣賞を受賞した。拍手だ。

(碓井広義/上智大学教授=メディア文化論)