【スリムクラブ「僕らでもナンクルなりました」】#5

 真栄田です。みなさん、生活はどんな感じですか? 大変な状況が続いていますね。今は公務員と、帯でTVやってる芸能人くらいしか、花を見て「奇麗だな〜」、晴れた空を見て「幸せだな〜」と思える精神状態じゃないかもしれません。僕は最近、道端の花を見て「1本いくらで売れるかな?」としか思いませんでした。

 実際、花に手をかけようとした瞬間、横にいた内間が僕を寂しそうな顔で見つめて首を横に振りました。理不尽とも思えるこの状況ですが、絶対に絶対に笑える日が来ると信じています。

 理不尽といえば僕も中学生の時に人生で一番理不尽な思いをしました。中2の時、僕は肥満児で体重が110キロもあり、極度の股ズレでその痛みに苦しんでいました。

 移動する際、一歩進むたびに無理やり包茎を治そうとするような痛みが襲ってきました。それを見かねた母親が「あんた、コレを塗りなさい」とアロエを差し出しました。当時、地元の沖縄ではやけどや傷口によくアロエを塗って治していました。ちなみにウチの親父はハゲた頭に毛を取り戻そうと、1年くらいアロエを頭皮に塗っていましたが全く毛は生えてこず、「ヒンヤリして、気持ちが落ち着いた。ハゲでもいい」と精神的な効果を得ていました。

■アロエとたばこ

 すみません、股ズレに戻ります。股ズレでかぶれた所にアロエを塗ると痛みが和らぎ傷が癒えていきました。しかしある朝、学校に行こうと起きたら、その時期のさらなる体重増加に伴い股ズレが悪化していたのです。

 あまりの激痛で僕はこれはマズいと思い、自然とアロエを学生カバンに入れて学校に向かいました。そして休み時間、トイレに行って個室に入り、激痛の股ズレにアロエを塗りました。「あ〜癒やされる」と和んでいると、トイレに急に生徒指導の先生が入ってきて「おまえら全員出てこい!」と叫びました。実はその時、隣の個室で2人のヤンキーがたばこを吸っていたのです。

「早く出てこい!」

 僕は慌ててポケットにアロエをしまい個室から出ました。同時にヤンキー2人も出てきました。すると先生が「おまえら、持ってるものを出せ」と言いました。ヤンキーの1人が観念してポケットからたばこを出しました。先生は「バカモン!」と強烈なビンタをしました。先生はもう1人のヤンキーにも「おまえも出せ」と言うと、ヤンキーはたばこを出しました。「バシ!」とビンタされました。そしていよいよ僕の番です。先生が「おい、真栄田、おまえも持ってるものを出せ」と言いました。僕がモジモジしていると「早く出せと言っとるんだ!!」と声を荒らげました。僕はゆっくりとアロエを差し出しました。「バシ!」、ビンタされました。先生はすでに脳に「ビンタスル」と入力していてキャンセルが利かなくなっていたのです。

 僕は「何で!?」と、柔道の篠原が誤審で一本負けした時と同じ気持ちになりました。そんな理不尽な出来事でしたが、時間が経ち今ではこうやってみなさんに笑って伝えられるようになりました。

 理不尽な今ですが、いつかまた平和な日々が戻って、今の時期を笑い飛ばしたいですね。

▽スリムクラブ 真栄田賢(左)、内間政成(右)。ともに1976年、沖縄県生まれ。琉球大学在学中に知り合い97年にコンビ結成。「M―1グランプリ2010」で準優勝したことをきっかけに人気上昇。しかし19年6月、いわゆる「闇営業」問題で無期限謹慎処分に。同年8月に謹慎が解け活動再開、復活をかける。