ドロンズ石本【新型コロナ 営業サバイバル実況中】#2

 ヒッチハイクだけで旅をする「進め!電波少年」の企画で南北アメリカ大陸縦断1万2000キロの旅に出た1996年、いきなり南米大陸の最南端マゼラン海峡に連れて行かれるとき「嫌じゃあ」と叫んだ23歳のボクには、不安と怖さしかなかったですね。

 実際アルゼンチンでナイフを突きつけられ、コロンビアでは角材を持った人たちに追われ、アメリカではピストルで撃たれ、本当に死ぬかという過酷な場面が相次ぎ、くじけそうになりました。その1年2カ月の旅と、コロナ禍で大ピンチのお店「馬肉屋たけし」の経営と、どちらがきついか聞かれ、今と答えました。

 あの旅にはアラスカのエンド・オブ・ザ・ロードという明確なゴールがあった。それを目標に頑張れた。今はそれがありません。どこまで踏ん張れば元のようになるのか分からないなかでは、気力を持ち続けることからして大変です。こちらの都合で休んでもらっている10人のアルバイトに、何の見通しも示せないのが何よりつらいです。

売り上げ90%ダウン

 夕方6時から深夜まで営業していたのを、昼11時からのランチ営業とテークアウト、そして早めのディナー2組までとし、8時閉店というシフト変更から2カ月。ランチから閑古鳥で、夕方までにテークアウトの注文が2つくらい。多い時は1日20〜30人来ていただき、20万円くらいあった売り上げは2万円以下に。90%ダウン、家賃の減免も3度お願いにいって3度とも聞き入れられず、赤字、赤字の毎日です。

 それでも、まだ食べることができているだけマシだと思う。アルバイトしてもらっているお笑い芸人や俳優のタマゴ、ダンサーたちは本業での収入10万円くらいと、お店でのアルバイト5万〜6万円で毎月やりくりしていたところ、2つともなくなってしまい、収入ゼロに。食べるため怪しい日雇いにも手を出して、真っ暗な地下道に荷物を運び入れたりしている。このときは怖くて、何を運んでいるのかとか、聞けなかったそうです。

 そうやって稼いだ1万円で、彼は1週間、食いつないでいます。ボクも駆け出しの頃、ポケットの財布を開いてはため息をつき、不安でいっぱいでした。バイト代が入るのが来週の月曜だから、それまで1日1000円で頑張ろう。そんな計算をいつもしていた。当時はおごってくれる先輩がいたり、希望も同じくらい胸にありましたけど、今の彼らにはそれもない。本当にごめんしか言えないのが悔しくて、閉店後、お店の弁当を車で持っていくんです。すると、こう言ってくれるんです。

「ありがとうございます。石本さんこそ頑張ってくださいね。何も力になれず、すみません」って。また涙腺が崩壊しそうです。 =つづく

(ドロンズ石本/タレント 構成=長昭彦/日刊ゲンダイ)