【新型コロナ 営業サバイバル実況中】#3

「次発見すれば、警察を呼びます」

 高円寺にあるライブハウスの店頭に、ある朝そんな張り紙があったそうですね。無観客で、お酒もフードも出さず、せめてもと動画配信していたところ、それも自粛しろと言われてしまう。差出人として「近所の人」と書いてあった。

 こういう空気、圧力は飲食店をやっていて、ひしひしと感じます。「3密」をつくらないよう席をあけるのはもちろん、換気をよくし、アルコール消毒し、まずは自分から人様に迷惑をかけないよう心掛け、行政の指示をきっちり守っていても、飲食店を営業しているというだけで、何か悪いことをしているかのような空気がある。ストレスなのか、このところ左目のまぶたが痙攣しています。

 実際のところ、店を開けても、閉めているのと大して変わらない毎日が続いています。閉めていても家賃や光熱費はかかるし、熊本から仕入れている馬肉も待ってはくれない。でも開けても閉めても同じだから、やっても意味がないとは思いません。「馬肉屋たけし」のある恵比寿1丁目界隈はオフィスが多く、午後3時過ぎになって「開いててよかったよ」って言っていただいたり、予約を入れていただき、作りたてをお渡しすると「行列に並ばなくていいのが何より」って喜んでもらえると、ああ、やっていて良かったって思える。

「悪い意味ではないけど、たくさん人がいる所で食べるより、ガラガラのお店の方が安心するよ〜」とか(笑い)、面白いもので、人との距離が開き世の中が殺伐とする中、逆に人とのふれあい、あたたかみが身に染みてきます。

どんぶり2万円分の応援

「あしたお店行くから、テークアウト用意しておいて」

 ある夜、そんな電話が薬丸(裕英)さんから、かかってきました。「なないろ日和!」(テレビ東京)という薬丸さん司会の番組に出演させていただいているのですが、ボクのお店もピンチだと報じられるのをみて、すぐに動いてくれたんです。

「ヒレステーキ、お刺し身も食べたいな」とおっしゃり、馬ステーキ丼や馬刺し丼をご用意していると、約2万円分もどんぶりを持っていってくださいました。応援テークアウトだって。ラーメン店食べ歩き番組でご一緒の女性プロデューサーが編集でスタッフと集まるからって、車でどんぶりをテークアウトしに来てくれたりするんです。

 人と人との距離は開けなければならない情勢ですけど、心の距離は開けなくていいのですね。孤独、不安、痛みすら伴う毎日も、心のぬくもりを感じられれば、また頑張ろうって思える。嫌な空気より、ちょっとだけ善意が上回っているとボクは信じています。 =つづく

(ドロンズ石本/タレント 構成=長昭彦/日刊ゲンダイ)