「アフターコロナ」。ドラマの制作現場はもう少しコロナを意識しているのかと思ったら、コロナのことは取り込むことができないまま。2カ月遅れで始まった篠原涼子主演の連ドラ「ハケンの品格」(日本テレビ系)を見て、拍子抜けした。

 密すぎる。17日の初回からオフィスが密すぎると思ったが、24日の2話はさらに密だった。オフィスでも、社長がやってきた食堂でも、社員が集まるそば屋でも、肩を寄せ合う距離感。大きな声や「バンザイ」を叫ぶ時の飛沫は? テレビ局は朝から晩までコロナで商売をしているが、ドラマは関係ないのか。

 篠原演じる派遣社員の大前春子が「派遣は責任は取れない」とか「派遣はプレゼンしません」とか、パワハラや派遣イジメなどはこのドラマのコンセプト。篠原のキャラが13年前の前回のままだとしても、時代や場面設定は工夫が必要。コロナで2カ月延期の間に新しいドラマ作りを模索していたと、てっきり思っていた。

 だいたい13年前にオフィスはあそこまで密ではなかったし、逆に、ことさら密を強調するような作りにしているのが不思議。引け目や配慮どころか、方針は変えないゾと開き直っている感じ。

 放送を再開した浜崎あゆみ物語「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)では秘書役の田中みな実が濃厚なキスを演じた。キスシーンを売りにするために裏側では覚悟も努力もしているというメッセージが込められている気がしたが、「ハケン」は野放図に人間がいてゴチャゴチャして暑苦しい。

 脚本は米倉涼子「ドクターX」の中園ミホ(2話は山口雅俊と川辺優子の2人)。周囲にコビずに生きる篠原の強烈なキャラは米倉同様、痛快なのだが、このご時世、ドラマが浮いている。

(峯田淳/日刊ゲンダイ)