【ダンカンの笑撃回顧録】#47

 クルクルクルリのカランコロ〜ン!

 えーっ、何? 何? この東京の夜景を一望できる高層ホテルの一室は? アー! これは現在の東京都庁のすぐそばにそびえ立つ一流Kホテルからの眺めではないの……て、ことはそーだ!! 時間は1996年くらいで……あるべきことか大沢たかおくんと俺がダブル主演をやった映画「チンピラ」の撮影中の一コマなのだ。

 どんな大スターであっても、決してぬぐい去ることのできない過去の傷痕があるものである。いやむしろそーいう痛みがあるから作品の中で人々がハッと息をのむような演技ができるのかもしれない……といっても今回の大スターの傷痕は本人悪い度0%、もう完璧なまでのもらい事故&いい迷惑&できることならなかった過去なのだ。

 何だったのか? 理由までは詳細に記憶していないが、映画の撮影中、大沢くんはKホテルに滞在していたのだ(ウ〜ム? 自宅の工事? 撮影現場と自室に距離があった? いや、作品に集中したいがゆえのホテル生活……ああ、やっぱり思い出せません)。

「飛んで火に入る夏の虫」という言い方があるけど、まさにその時の大沢くんはその言葉にピッタリ、ロックオンされた男となるのであった……だって、俺の住む中野坂上から新宿のKホテルまで車で5分足らずという近さ。こりゃもうくだらない男の血が湧き肉躍るとなるのは当然もいいところ!!

 その飛んで火に入る虫にどんなことが巻き起こったのか?(決して作り話じゃないよ)

 当時、俺の運転手をしていたのは五厘刈りに無精ヒゲをたくわえた筋骨隆々のトカレフ林という男であった。まずトカレフという名前からして普通ではないでしょう? もちろんビートたけしさん命名なのですが、その理由が「あいつ絶対にフトコロにチャカ(拳銃)隠し持っているよな?」というのだから、どのくらいの極悪顔か想像がつきませんか?

 しかし、そのトカレフ、だれが見ても指名手配犯の顔なのに、お笑いのノリはサイコーでした。

■妻ママリンも協力して

 そのトカレフにママリン(俺の妻)の化粧道具をこっそり使わせ、口裂け女+貞子の20倍くらい気色の悪いオ〇マに仕立て上げたのだった。

 化粧はできたものの、ママリンの服をこれまた内緒で引っ張りだしたが、どれも筋骨隆々男の体が入らない……その時ヤベー!! ママリンに見つかったら――化粧道具と洋服は女性の命みたいなもの(?)怒られる!?――と思った次の瞬間「アハハ……トカレフくんがホテ〇ルのオ〇マで大沢さんの部屋に乱入するのね。へ〜代金は前払いでもらっているから帰れないって強引に居座るって面白〜い! だったらこのワンピース着なさい。すごく大きいデザインになってるからー!」と自らのワンピースを差し出してくれたのだ……。立派な妻だねェ(涙)。

 そして、トカレフは突入作戦を見事、実行しました……。

 だけどこれ以上の内容公開は大沢くんの役者としての未来に影響しかねないので、今回はここまで……でも、この夜、新宿高層ビル街には野獣に襲われたヒトのような絶叫がいつまでも響いていたのだった……。  =つづく

(ダンカン/お笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家)