NHKには知恵者がいるものである。この14日に再スタートした連続テレビ小説「エール」は、6月に新型コロナウイルスで中断後、すぐに第1話から再放送を始めたが、再開時にどう話をつなげるのかと心配していたら、なんと先週までにこれまで放送の65話をきっちり流して、再開1回目の66話につなげてしまった。見ている方はまったく違和感がない。

 さらに、3カ月近くも後ろ倒しとなって、年内に完結するのだろうかと再び心配していたら、今度は10話分をカットして、11月27日を最終話にするという。そして、翌週から次の朝ドラ「おちょやん」が始まる。

「これで、例年通り、後期ドラマが年またぎになって、大晦日の紅白歌合戦で、新ヒロイン役の杉咲花が審査員になったり、特別企画で番組宣伝をしたりということが間に合いました。それどころか、『エール』も終わってから1カ月しか経っていないから、古関裕而メドレーの特別コーナーもありでしょう。うまく仕掛けたものですよ」(民放編成局幹部)

 歌手の山崎育三郎やらが、ドラマの中で歌った「丘を越えて」「船頭可愛や」をライブで披露し、早稲田大や慶応大の応援団が「紺碧の空」「我ぞ覇者」をバックに、演技を披露するかもしれない。もちろん、「栄冠は君に輝く」は全員で合唱、最後は陸上自衛隊中央音楽隊の「オリンピック・マーチ」で盛り上げる。

 新型コロナウイルスの感染防止で無観客紅白なのは残念だが、これを逆手にとって、むしろダイナミックで立体的な演出になりそうだという。NHKホールの観客席や駐車場に臨時のステージを設置することが可能になり、本ステージ、臨時ステージ、リモートのロケを一体にして、エールの出演者たちがあちこちから歌うマルチ歌唱・演奏なんて楽しそうだ。

 それにしても、カットする10話分はどの時代なのだろう。古関夫婦の人生を描くなら、「露営の歌」「若鷲の歌」など戦時歌謡で若者を戦地に送り出し、敗戦後は一転して「長崎の鐘」「とんがり帽子」で平和を賛美するなど、時代の流れに乗って変転していく十数年は外せない。

 コンビを組んで、「イヨマンテの夜」「君の名は」などのヒットを次々に飛ばした劇作家・作詞家役(モデルは菊田一夫)に北村有起哉の起用が発表されているところから、戦後の歌謡曲や映画音楽での活躍も何話かありそう。

「主人公・古山裕一と妻の音の家族や故郷のその後の話が削られたようですね。最近の朝ドラは、主人公にエピソードが乏しく、最後の1カ月はアップアップになってしまうんです。10話カットでストーリー展開が締まって、かえっていいかもしれませんね」(前出の民放編成局幹部)

 来週の第15週から戦争の時代に突入する。

(コラムニスト・海原かみな)