効果アリの声続々 オオカミロボは鳥獣被害対策の切り札か

効果アリの声続々 オオカミロボは鳥獣被害対策の切り札か

 切り札になるかもしれない――。全国の農家が頭を抱えるイノシシやシカなど野生鳥獣による農作物被害。2015年度の全国の被害額は176億円にも及ぶ。防護柵などの対策が中心だったが、最近オオカミの姿をしたロボットが効果を挙げているという。

 その名は「スーパーモンスターウルフ」。太田精器(北海道奈井江町)が、北海道大、東京農大と2010年から約7年かけて共同開発した。体長65センチ、体高50センチ。バッテリーにソーラーパネルをつなげて電源にしていて、エサは与えなくてもいい。開いた口からは鋭い牙がのぞく。近づく野生動物に対してセンサーで感知、強力なLEDの光と威嚇音で野生動物を驚かせる。オオカミや犬、人間などの本来天敵となる声や、また自然界にない、えたいの知れない音など、動物が慣れないよう音をふんだんに入れていて、音のバリエーションはナント48種類もある。

「視覚的にも威嚇しようということでオオカミの姿にし、さらに動物から見ても生きているリアル感を出すため首が動くようにしました。昨年10月から今年5月まで北海道の畑に設置。例年、エゾシカやヒグマが出るのですが、一切出なかった。木更津JAからお声がかかり、本州にも展開が始まりました」(太田精器の太田裕治社長)

 千葉県木更津市のイノシシなど農作物被害は増加している。

「被害額は2016年は12年度の約4倍の2197万円。毎年、対策費で2000万円近くかかっている」(市農林水産課)

 JA木更津で、7月から「ウルフ」を水田に置いたところ、今のところ、イノシシは姿を見せていないという。ここでも「効果アリ」だ。

 イノシシやシカが増えるのは、天敵オオカミが不在だからだ。オオカミは自分自身を捕食する敵がいない「頂点種」。当然、繁殖力は弱く、100年以上前、日本では絶滅した。

 確かに天敵オオカミの力を借りない手はない。再び日本でオオカミを山林に放ち、シカやイノシシを駆除するという構想を検討している武貞誉裕添田町議(福岡県)はオオカミロボについてこう言う。

「野生動物に対して視覚や聴覚に訴えて、威嚇する試みは注目です。加えて、嗅覚も効果的でしょう。高価ですがオオカミの尿も売っています。天敵であるオオカミを軸に対策を組み立てることが重要だと思います」

「赤ずきん」「三匹の子豚」などですっかり悪役イメージが定着しているオオカミ。これからは“偏見”を捨てて、協力関係を……。

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