急増中のスマホ老眼を予防するには「10分に1度」は遠くを見るべし

急増中のスマホ老眼を予防するには「10分に1度」は遠くを見るべし

【病気を近づけない体のメンテナンス】#9 目(前編)

 誰もが経験する目の疲れ。「疲れ目」であれば一時的なものなので、休息したり、睡眠をとれば自然と回復する。しかし、疲れ目が起こりやすい状態を放置していると、いつの間にか「眼精疲労」へと悪化させてしまう。

 眼精疲労になると、目の疲れや痛みが強く、休息しても改善しない。目の症状だけでなく、肩凝り、頭痛、吐き気、倦怠感、自律神経失調症などの全身症状を伴うのが特徴だ。

 近年、急激に疲れ目を加速させているのは、スマートフォン(以下スマホ)の普及だ。「梶田眼科」(東京都港区)の梶田雅義院長が言う。

「いま、眼科関連の学会で話題になっているのは、スマホを長時間操作することで起こる眼位異常です。若者を中心に『急性内斜視』の患者さんが増えています。主な症状は遠くを見ると物が二重に見える『複視』です。もともと眼位が内斜位や外斜位の傾向がある人に起こりやすい」

「眼位」とは、黒目の位置のこと。正常の眼位は、両方の目が真っすぐ前を向いていて、片方の目を何かで覆っても、黒目の位置は動かない。

「内斜位」は、普段は両方の目が真っすぐ前を向いているが、何かで片方の目を覆うと、覆われた方の目が内側に寄る。

「外斜位」は、何かで片方の目を覆うと、覆われた方の目が外側にそれることをいう。

 人は物を見るとき、眼球を内側に向ける「内直筋」や外側に向ける「外直筋」などの筋肉を使って、左右の目のピントを合わせている。近くを見るときは両方の目を内側に寄せて「寄り目」になる。スマホを見るときもこの状態だ。しかし、スマホ操作で長時間寄り目を続けていると、内直筋が凝り固まってしまう。すると、視線をスマホから離して遠くを見たときに、片方の目の寄り目が戻らず、両目の視線が一致しないため、物が二重に見える症状が出るのだ。

「外斜位の人の場合は、目を寄せるのがつらいので、無意識にスマホを片目で見てしまいます。それで視線を遠くに向けたとき、外斜位の方の目を正面に寄せられなくなるために複視が起こるのです。いずれにしてもスマホが手放せない人で、急に複視を自覚したら、受診した方がいい」

 斜位は眼科の検査で調べることができる。複視の症状は、特殊なレンズを使ったメガネによる「プリズム矯正」が可能という。

 急性内斜視を防ぐには、スマホ画面を目から30センチ以上離すこと。10分に1回は、自分のピントの合うギリギリの遠方を1〜2秒見ること。それと斜位のある人は、人さし指を目の前に立て、左右に動かして、それを眼球だけで追う“目のストレッチ”も有効という。

■デスクは壁に向かって配置してはダメ

 スマホや携帯ゲームによる目への弊害は他にもある。目のピントを合わせる機能が、40代半ば相当にまで低下している中高生が増加中という。

「いわゆる『スマホ老眼』ですが、これは近視があるのにメガネをかけないで目に画面を近づけて操作していることで起こります。脳の目のピントをコントロールする条件反射がマヒして働かず、日常生活の遠近のピントが合わなくなるのです」

 適切なメガネ矯正で、どうにか頑張れば、8割くらいの子供は元に戻るが、2割くらいの子供は授業時の黒板とノート(手元)のピント調節が難しく、遠近両用メガネが必要になるという。予防は急性内斜視の対策と同じ。きちんとメガネをかけて、目を画面から離して操作することが大切になる。スマホによる目の障害は、「スマホ依存」とも密接に関係している。場合によっては依存症治療(精神神経科)が優先されることもあるという。

 また、スマホ操作にかかわらず、パソコンなどを使ったデスクワークが多い人も10分に1回は3〜4メートル先の遠方を見た方が疲れ目の予防になる。そのためには職場のデスクの配置を整えた方がいい。

「デスクは壁に向かって配置するのではなく、他の人とデスクを向かい合って配置し、お互いが仕事中に遠方を眺められるようにした方がいい。狭い部屋なら天井を眺めるだけでもいい。頚部(首の)神経の刺激にもなり、疲れ目の緩和に有効です」

 蒸しタオルなどで目を温めるのも疲れ目対策になるが、肝心なのはそのタイミング。一日の仕事が終わった後にやるのならいいが、仕事の途中でやるとリバウンドで余計に目が疲れやすくなるという研究データが出ているという。


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