被災地のいま<下>遅々とする仮設住宅入居に不安の被災者

被災地のいま<下>遅々とする仮設住宅入居に不安の被災者

 台風19号の豪雨で氾濫した千曲川は長野市内に大規模な浸水被害をもたらした。全壊や大規模半壊などの被害は約3600戸。14カ所の避難所には、いまだ約700人が暮らす。日刊ゲンダイ記者は避難所の市立豊野西小学校を訪れた。

 豊野西小は、千曲川の堤防決壊で最も被害を受けた長沼地域から車で約10分。周囲より小高い場所にあるため、浸水被害を免れた。豊野地区で被災した約190人が校内の体育館と児童館で生活している。

 入浴は毎日、学校から徒歩5分、水害のため休業中の温泉施設「豊野温泉りんごの湯」まで通う。自衛隊が施設を借りて入浴設備を設営したためだ。感染症予防のために体を清潔に保つだけでなく、被災者もスタッフもアルコール消毒とマスク着用を徹底している。

 日が暮れると気温は10度を下回る。鼻頭がツンとする寒さから逃れるため体育館の中に入ると、大型の石油ストーブがたかれていて暖かい。居住スペースの体育館内は気温20・5度と、比較的過ごしやすい環境だった。

 被災直後はブルーシート、マット、毛布だけだった館内は、今では段ボールベッドがひしめいている。間仕切りが大人の腰ぐらいの高さのためプライバシー保護は完璧じゃないが、被災者は先月末にようやく支給された布団のおかげで夜も暖かく過ごせるようになった。

 除菌ティッシュや歯ブラシ、タオルなどの日用品から、コートやジャケットなど衣類まで、あらゆる支援物資が充実。軽食用のおせんべいやチョコ菓子、紅茶やコーヒーも置かれていた。

 被災直後に豊野西小で避難生活を送っていた70代の男性は「快適でした」と支援者らに感謝する一方、長野市が民間住宅を借り上げる「みなし仮設」の問題を明かした。

「市と業者(貸主)と契約したけど、業者の都合で、まだ入居できないんだって。今は被災する前の家だった山奥の“掘っ立て小屋”に住んでるから、一日でも早く移りたいんだけど……。いつ移れるか分からねえ」

 市は今月中に避難所を閉鎖する方針だが、みなし仮設への入居準備が進んでいない状況では、被災者も不安だろう。市は「契約書が交わされれば、すぐご入居いただけますが、修繕が必要など部屋ごとに事情が異なるので、(入居時期は)何とも言えません」(住宅課)と答えた。

 被災者が路頭に迷うことは絶対にあってはならない。 =おわり

 (取材・文=高月太樹/日刊ゲンダイ)


関連記事

おすすめ情報

日刊ゲンダイDIGITALの他の記事もみる

あわせて読む

主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

生活術 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

生活術 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索

トップへ戻る