【○○が好きすぎて副業になっちゃいました】

 小学生に聞いた最新の「将来就きたい職業ランキング」(学研ホールディングス)によると、今年の1位はなんとYouTuber(ユーチューバー)。年々テレビの視聴時間は減り、スマホの普及とともにネット利用が増えている。ユーチューバーらが動画コンテンツを供給していく流れは強まるだろう。

 ただ、筆者が特に手薄と感じるのは40代、50代向けのネットコンテンツ。今回取材したのは、まさに40代、50代にも見られる動画を提供している岡野武志さん(42歳)。岡野さんの本業は弁護士。交通事故や刑事事件を専門的に扱うアトム法律事務所弁護士法人グループの代表だ。

 岡野さんのユーチューバーネームは「闇弁タケシ」。配信の内容は、刑事事件を扱ってきた本業のノウハウを生かして社会的に関心が高い事件を解説しているものが多い。N国党の立花孝志さんの書類送検の話、山口敬之さんと伊藤詩織さんの裁判の顛末予想、道端アンジェリカさんの脅迫に関する書類送検の内容整理、池袋暴走事故の加害者が逮捕に至らない理由、カルロス・ゴーンと弁護団の関係性などだ。

 知識と経験のある岡野さんの解説は分かりやすく、テレビと同じようにフリップも使って解説をしてくれる。各動画は10分程度で、話題はそれることなくピンポイントで、見ていて飽きない。

 岡野さんに、ユーチューバーになったきっかけを聞いた。

「配信の面白さを体感したのは2018年ごろでした。事務所の暑気払いや新年会用の余興としてユーチューブ風の動画を披露したんです。はやりのユーチューブっぽくテロップを入れて、リズミカルに編集しました。それが反応が良かったんです。そもそも本業の法律事務所がウェブを戦略的に使って集客をしてきたので、ユーチューブに流れが来ているとも感じました。いまはグーグル検索の熱量は下がり、ソーシャルメディアに熱量が流れています。インスタやフェイスブックは主にクールさやカッコよさをシェアする媒体なので、法律事務所の仕事との相性を考えると、社会的なネタを扱いやすいユーチューブがいいんですよね」(岡野さん)

事件×ウェブマーケティングで動画に殴り込み

 岡野さんの動画の再生回数は多いもので10万回、ほかの動画も2万〜7万回程度。扱う話題はグーグルの検索ワードなどを分析して、数字を持っているテーマを選んでいる。ユーチューバーは再生回数×単価で収入が決まるが、岡野さんの収入はどれくらいか。

「ユーチューブの現在の仕様は10分未満の動画だと広告を1本しか入れられないのですが、10分を超えると自由に広告を入れられます。そこを狙って10分以上の動画をつくるようにしています。広告収入のおおよその相場は、現在の仕様だと『チャンネル登録者数×10円』という感じです。僕は2万人の登録者がいるので、月に20万円程度でしょうか」(岡野さん)

 副業も戦略的だ。最後に今年の展望を聞いた。

「今年は、『1に露出、2に便乗、3にかぶせ』でやっていこうと思っています(笑い)。瞬間風速が高い話題を扱って、コメント欄で盛り上がってもらう。昔の2ちゃんねるのスレッド(掲示板)を立てる感じに似ています。まず話題提供をして、それに続く人たちがスレッドを盛り上げていってもらえれば。いいネタを提供できるように頑張りますので、チャンネル登録よろしくお願いします(笑い)」(岡野さん)

 法律事務所へ寄せられる相談には、不倫、DV、ハラスメントなど、人間関係の修羅場に関するものが多い。それに応えてきた経験と、ウェブ分析のスキル、この2つが合わさった弁護士ユーチューバー闇弁タケシは、やり手のコンテンツプロバイダーであった。

(石塚集)