【ニューヨークからお届けします】

 アメリカでのがん死亡率が1991年以降、29%も低下――。アメリカがん協会から発表され、話題を呼んでいます。これを数に換算すると、亡くなった人の数が290万人減少したことになるそうです。

 死亡率低下の最大の理由は、肺がんによる死者の減少です。

 肺がんの死者は乳がん、大腸がん、前立腺がん、脳腫瘍をすべて合わせた数をしのぎ、全体の4人に1人を占めているため、その減少が全体の数字を引き下げたことになります。

 その肺がんによる死者が減少した理由は、喫煙率の低下と肺がん治療の進歩です。

 1960年代には40%を超えていたアメリカ人の喫煙率は、2015年には14%を割るまで大幅に下がりました。たとえ今は禁煙していても、かつての喫煙が原因で肺がんになるケースもまだ少なくありません。しかし今後、その数は減っていくだろうと予測されています。

 さらに、最新のイメージング技術によりがんのステージ診断がより正確にできるようになったこと、侵襲の少ない手術の進歩、15年以降に始まった免疫療法も、死亡率低下に大きく貢献しました。

 皮膚がんの一種メラノーマ治療の進歩も、転移性がん患者の延命につながっています。免疫療法により20歳から64歳の患者の死亡率が7%、65歳以上に関しても5〜6%下がったという数字もあります。

 一方、大腸がん、乳がんに関しては死亡率低下のスピードが下がっており、前立腺がんの死亡率はまったく下がっていません。

 また、喫煙率の低下とは逆にアメリカ人の肥満のさらなる進行が、新たながんの傾向を生み出しています。現在アメリカ人の7割近くが太り過ぎ、4割が肥満症という状況の中で、肝臓がん、腎臓がん、脾臓(ひぞう)がん、子宮がん、閉経後の女性の乳がん、55歳以下の大腸・直腸がんが増えてきていると、アメリカがん協会では警鐘を鳴らしています。

(シェリー めぐみ/ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター)