【○○が好きすぎて副業になっちゃいました】

 今月初旬、カルロス・ゴーン氏と堀江貴文氏の対談がYouTubeで公開されて話題になった。2人を仲介したのは堀江氏が手掛けている「和牛マフィア(WAGYUMAFIA)」の関係者だという。おいしいものは人をつなぐ。観光が最大の経済資源となるこれからの時代には良いコンテンツになるのだと再認識する出来事だった。

 今回、取材したのは東京で「鮨マフィア(Sushi Mafia)」を展開する近都真侑さん(33歳)。近都さんの本業は医師。近畿大学医学部を卒業後、産婦人科医をしながら、ヤフーのようなIT企業の産業医としても働いている。

 鮨マフィアは、日本観光をする外国人の方たち向けに、世界最大の魚市場である豊洲市場を探訪したり、ミシュラン認定品質の食材を用いて、鮨職人が鮨の作り方を教える個人向けのツアーを提供している。ランチ時のお鮨屋さんを貸し切ることも多い。これまでに有名サッカー選手やハリウッド俳優もツアーに参加している。どちらかといえば富裕層向けだ。

 近都さんが鮨マフィアを手掛けようとしたきっかけは、外国人に本当の鮨を知ってもらいたいと思ったこと。さらには鮨の仕入れから仕込みまでにかかる手間暇のプロセスと文化を知ってほしいという思いだった。

■「和牛マフィア」より“先輩”

「オリンピックもあり、日本でインバウンド(訪日外国人)が伸びることは皆が予測していましたが、外国の方が検索する個人ツアーのサイト(トリップアドバイザーなど)には鮨体験ツアーがないとわかり、この領域はビジネスになると直感しました。自分が鮨好きということもあって、実際に何度も食べに行ったことがあるお店の方たちと相談をして徐々にツアーの内容を濃くしていきました。ビジネスとして規模は違いますが、堀江貴文さんの『和牛マフィア』よりわれわれの方が早くサービスを開始しているんですよ(笑い)」(近都さん)

 外国人がよく検索するAirbnbの「体験」機能を見てみると、禅の呼吸法、日本酒の利き酒、秋葉原アニメツアー、抹茶と煎茶の違い、東京都内の川をナイトカヤックするなど、かなりサービスが細分化されている。サービス提供側はこまやかな企画の提案が必要になっている。

「観光客の間ではもっと日本文化の奥深いところ、生活に近いところを知りたいというニーズが増えていると思います。鮨マフィアでは、ランチ時にお鮨屋さんを貸し切るので、鮨職人と同じカウンターに入って、技術をすぐそばで見られるし、何でも質問できます。ミシュラン掲載店の材料の品質、包丁の使い方、だしの取り方、あぶり方、シャリの作り方、握り方などを体感できる。食べに行っただけではわからない。鮨という文化の奥深さを感じてほしいと思っています」

 鮨マフィアの現状の売り上げは?

「このコロナ騒動でかなりダメージを受けています。オリンピックやパラリンピックも今後どうなるかわからない。今後数カ月は厳しい状態が続くでしょう。医師としても事業家としても日本だけでなく全世界で未曽有のこの問題に立ち向かっていきたい。そのために今は踏ん張りどきです」

 残念ながら売り上げは非公開だったが、最後に今後伸びそうな観光業について聞いた。

「食は文化が表れやすいので、もっとエンターテインメント化していくと思います。フィットネスや美容業界も観光業とマッチングさせたチャンスが多そうですね」

 所有より体験。そして体験でも自分が興味を持っている領域での深い体験が求められる時代になってきている。自分が提供できそうな価値は何かを知り、ウェブを使って情報公開していくことが、これからの副業の武器になる。

(石塚集)