【からだデータ】

「濃厚接触を減らすために、電車をやめて自転車を使う」

 時節柄、そう考えている人も多いだろう。確かにウイルス感染のリスクは減るかもしれないし、健康にもいいが事故には要注意だ。

 警視庁の資料によれば、2019年の交通事故の死者数は3215人。近年は年ごとに死者数が減少し、統計が残る1948年〜2019年の間で最少となっている。だが、うち約13・5%にあたる433人が自転車運転中の死者なのだ。さらに注目すべきは年代別分布だ。実に死者全体の約85%が50代以上の世代。50代が10・8%、60〜64歳が5・1%、65歳以上が69・1%となっている。加齢による体力、反射神経、動体視力の衰えや視野狭窄などが原因だろう。

 特に大都市部ではクルマはもちろん、バイク、自転車、歩行者の通行量も多く、衝突、接触の確率は高まる。さらに、最近ではスポーツタイプや電動アシスト型など、スピードの出る自転車も多い。片手でスマホを操作しながら、あるいはイヤホンで音楽を聴きながら、といった危険運転者もいる。自転車運転時あるいは歩行時に、ヒヤッとした経験があるはずだ。つまり、誰でも自転車事故の加害者にも被害者にもなる危険性がある。

 2015年には競泳の萩野公介選手、2016年には、元自民党総裁の谷垣禎一氏が自転車事故で大きなケガを負っている。もらい事故もさることながら加害者になった場合には高額な補償金を支払うこともある。濃厚接触を避ける気持ちはわかるが、中高年は自転車が絡む「瞬間接触」にも注意したほうがいい。免許返上を迫られることはないが、クルマ同様に大ケガ、あるいは死の危険をはらんでいるのだ。