コラム【話題の焦点】

 4月から急増したのが、ご存じ「オンライン飲み会」。「気づいたら深夜を過ぎていた」「久しぶりにお腹がよじれるほど笑った」などなど、「楽しすぎ!」といった声がSNS上を飛び交っている。一方で「オンライン飲み会の様子をSNSで見るたびにつらくなる」という人も少なくない。

 都内在住で金融関係の仕事に就く40代の智子さん(仮名)は、フェイスブックの「友達」は多いが、オンライン飲み会は参加したことがない。

「誘われたこともない。“友達”がフェイスブックでオンライン飲み会をアップしているの見ていたら、お酒を飲みすぎました」と智子さん。

 神奈川県に住む製薬メーカー勤務の高志さん(30代=仮名)は、オンライン飲み会で盛り上がって何時間も過ごしている自分が想像できない。

「何を話していいか分かりません。同じ場に居合わせてるのならまだしも、オンライン飲み会で、相手に『楽しかった!』と思ってもらえる自信がない。笑ってもらえるような話を提供できない」

 高志さんもオンライン飲み会に誘われたことがない。「自分は人間力がないんだな」と、最近感じているという。

「カウンセリングでも、今はまずコロナの話が出てきます。そういう時、『オンライン飲み会ってよく聞きますが、私はやっていない。やった方がいいんでしょうか』と言う人が結構います」

 こう指摘するのは、公認心理師で「こぐまカウンセリング」代表の潮英子氏。中には「オンライン飲み会に参加したいわけじゃないけれど、そう思う自分は大丈夫だろうか」と言う人もいる。

 潮氏によれば、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、下の層の欲求が満たされると、その上の欲求を満たしたいと思う。これを「マズローの欲求5段階説」と呼ぶ。

「真ん中の層にあるのが社会的欲求で、人間は帰属することで安心感を覚えます。しかし今は在宅勤務で社会的欲求が満たされず、孤独感を覚えがち。『オンライン飲み会に参加していない』となると、一層孤独感が強くなるのでしょう」

 さらには「比較」も関係している。みんな楽しそうにしているのに、なぜ自分だけ……これが、自己肯定感の低さに拍車をかける。

「この問題に限らず、『あらゆる人間の不幸は、比較することから始まっている』とカウンセリングを通してよく感じます。難しいかもしれませんが、人は人、私は私と考える。比較しない。そもそもオンライン飲み会に参加したとして、本当に楽しめるのか? 冷静に分析した時、答えはノーとなるかもしれません」

 STAY HOMEウイーク。SNSをチェックして心がざわつく人は、「SNSを断つ勇気を持つことも重要」と潮氏は言う。