新型コロナウイルス診断のためのPCR検査への注目がより集まる中で、「偽陰性」やら「偽陽性」やら「陽性的中率」やら「陽性率」などの言葉が出てきて、頭がこんがらがっている人もいるのでは? 「日本臨床検査専門医会」会長の〆谷直人医師に解説をしてもらった。

【偽陰性、偽陽性】

「新型コロナウイルスなどに感染していて、検査で陽性と出る場合を真陽性、検査で陰性と出る場合を偽陰性といいます。逆に、感染していないのに検査では陽性と出る場合を偽陽性、検査でも陰性であれば真陰性です」

【感度と特異度】

 臨床検査の信頼性を見る時に、重要なのがこの感度と特異度。病気の人を対象に検査を行った時、検査でも実際に陽性となる率を示すのが感度だ。たとえば感度99%であれば、病気の人100人を検査すると99人が陽性、1人が陰性となる。

 一方、特異度は病気でない人を検査し、どれくらい陰性となるかを示す。特異度99%の検査では、検査で99人が陰性、1人は陽性となる。

「感度が非常に高い検査は病気を見逃すことはまれです。PCR検査は感度30〜50%や70%という報告はありますが、検証された論文はまだ発表されていません。感度70%であったとしても、この数字は決して高いとはいえません」

【陽性的中率】

 感度、特異度に加えて、さらに重要なのが「陽性的中率」だ。検査で陽性となった人のうち、本当に感染していた人が何パーセントいたかを示す。しかし、感度、特異度が同じでも、集団によって結果が変わる。

 たとえば感度99%、特異度99%の検査を、感染者100人、健康な人100人の合計200人の集団で実施したとする。すると感染者100人中99人、健康な人100人中1人が、検査結果で陽性となる。つまり、検査結果の陽性者は100人。しかし本当に陽性なのは99人なので、陽性的中率は100人中99人で、99%(CASE1)。

 ところが同じ検査を感染者100人、健康な人9900人の合計1万人の集団に行うと、感染者100人中99人、健康な人9900人中99人が検査で陽性。計198人が検査結果が陽性だが、このうち本当に陽性なのは99人なので、陽性的中率は50%となる(CASE2)。

 このように陽性的中率は疾患を持つ患者さんの存在割合によって変わる。

 厚生労働省は、国内でのPCR検査の総実施数を公表していないが、国内での陽性率は公表しており、4月21日までの累積で全国平均は10%。3月31日までは5%で上昇傾向にある。

 陽性率は、感染者数(真陽性と偽陰性の合計)を検査をした人数で割った数値である。先ほどのCASE1では200人中100人が感染者なので、陽性率は50%となるが、CASE2では1万人中100人が感染者なので、陽性率は1%となる。

 東京都に限ると、チャーター便帰国者やクルーズ船乗船客を除き、1月15日〜4月21日で39.4%だ。陽性率が高いのは、検査者の総数に対して偽陰性も含めて感染者数が多いということ。検査者数を増やせば陽性率は下がるが、現状の数値では医療崩壊の危険性がある。

 いずれにしろ、感染者数を単に見るだけでなく、言葉の意味を理解し、オーバーシュートの危険が迫っていることを理解すべきだ。