【令和の不動産 マンションのプロはこう買う】

 猛威を振るう新型コロナウイルスは、とうとう全国に「緊急事態宣言」を発令させ、5月末まで延長という事態にまでなっている。

 本来2〜5月は、春の異動に伴い、マンションをはじめとした住宅が一番売れる時期であるが、今春に関しては3月上旬から鈍化し、4月にいたっては内覧やすべてのマーケットが停滞するという異常事態が起こった。この状況下に人生で一番高い買い物といわれる住宅を購入する意欲が湧かないのは当然ともいえる。そこでアフターコロナで不動産はどうなるのか、考察してみたい。

 コロナ禍で五輪が延期となった。選手村の跡地は「晴海フラッグ」として販売される。賃貸用も含めて総戸数5632戸と不動産市場に与える影響は大きい。

 このうち既に販売済みの約950戸をめぐっては、五輪延期によって引き渡し時期が見えないのだ。購入者のAさんは、当初の2023年3月入居を見込んで契約し、子どもを4月から保育園と小学校に入れようと考えていたが人生設計が狂ったと嘆く。

 契約解除も考えたが、不動産契約は自然災害やウイルス感染拡大など、売り主の責任でない事由で入居が延期となる場合、契約解除はできないとされる。

 そのため、一部では既に支払った手付金を放棄してまで契約キャンセルが相次ぎ、ディベロッパーが困惑しているという声も聞こえてくる。なかには、入居前に売り出し(転売)が行われるなど異例な住戸も出てきそうだ。

■選手村をコロナ患者の隔離施設として活用

 小池都知事が3月下旬「選手村(晴海フラッグ)」をコロナ軽症患者の隔離施設として活用する案を示唆した。現状では、ホテルや自宅療養が維持されているが、今後オーバーシュートが起これば、可能性は否定できない。そうなるとコロナ患者の使用後、消毒をして選手村として利用、その後、改装して一般向けに提供されるという見せかけばかりの新築物件が誕生することになる。

 さらに、延期した五輪が予定通り開催されなければ五輪シンボルともいえる本物件の購入意欲は、より鈍化するであろう。そうなると過剰在庫となり、開発資金の回収が遅れ業績の下落、なかには倒産、他の新築物件への資本投下は到底難しいという状況にまで追い込まれる可能性がある。

■「職住近接」という価値観の崩壊

 リモートワークによって、職場に行かなくても仕事ができ、職場と住居の距離が近い「職住近接」の必要があるのかという疑問が出てきている。リモートできない業種や仕事もあるが、職場と住居が離れている「職住分離」やマンションから一戸建てに選択肢が広がる可能性がある。

 中国では新型コロナウイルスが終息に向かい、登記所の大行列ができたという話も聞く。日本ではアフターコロナで不動産にどのような影響があるのか、注目したい。=おわり

(日下部理絵/マンショントレンド評論家)