【骨と筋肉の疑問に答える】#11

【Q】 緊急事態宣言以降、自宅でテレワークするようになりました。最初はリラックスできると喜んだのですが、腰や肩が凝るようになり痛みも感じます。なぜですか? (30代男性)

【A】 同様の質問を最近よく受けます。原因は椅子にあるのかもしれません。会社にもよりますが、職場では長時間座って作業をしても疲れにくい椅子が用意されています。ところが、家庭用の椅子は必ずしもそうではありません。そもそも人間は足で重力に対してバランスを取るために背骨はS字状になっています。しかし、座ると背骨のS字状が崩れてアーチ状になり、腰や椎間板への負担が大きくなって疲れ、肩や腰が痛くなるのです。

 疲れない椅子には3つの条件が必要です。①接触面が広いこと②背骨のS字状のサポート機能がある③サイズの調整可能なことです。お尻があたる部分が硬い椅子に比べて軟らかい方が長時間座れるのは、硬い椅子ではお尻との接地面が少なくお尻にかかる圧力が分散できないからです。また、背骨のS字状をキープするには座ったときに骨盤を安定させなければなりません。そのため、ビジネスマンが使う椅子の多くは第5腰椎、第3腰椎をサポートできるように工夫されています。ひじ掛けがついているのは意外に腕の重さが体の負担になるからです。実は両腕の重さは体重の16%程度を占めるとされており、ひじ掛けに両腕を乗せることで体の負担を軽減させているのです。さらに、背骨のS字は個人差があるため、背もたれ部分を調整できるような椅子を使っている会社もあるようです。

 もちろん会社では長時間座って仕事をしても疲れないよう、デスクの位置や照明、空調などにも工夫がなされています。

 ところが、家庭用の椅子はそうではありません。椅子や机は機能より値段やデザイン重視で選ぶことが多い。しかも子供も座るため、サイズもバラバラ、照明もデスクワークを前提にしているわけではありません。そのため、そこで長時間デスクワークすると、知らず知らずのうちに体に負担がかかるのです。

 それではどうするのか? ひとつは、ひとところで仕事をするのではなく、場所を変えて仕事をするのがいいでしょう。座るのも椅子だけでなくバランスボールを使うというのも手です。私も利用しています。バランスボールがいいのは、座っているだけで体幹を鍛えられる点にあります。背もたれがないため、寄りかかることができず、自分の背筋や腹筋を使って重心を維持するしかありません。普段使っていない筋肉を使うことで、血流が良くなり、骨盤や筋肉が圧迫されない正しい位置に戻ったりするので、腰痛改善・予防につながるのです。ただし、人によってはそれが体の負担になり、別の問題を起こすことにもなりかねません。我慢して長時間座るのは避けた方がいいでしょう。

 また、うまく座るには姿勢を正さなければなりません。姿勢が良くなるのもメリットといえます。照明はスタンドを使うのがいいでしょう。部屋全体と仕事で見る机の上を明るくすれば、ラクな姿勢で作業を続けることができます。6畳で80〜100ワットくらいを目安にするといいでしょう。

(水井睦/みずい整形外科院長)