【成功のヒミツ失敗しないコツ】

 コロナ禍による移動自粛要請が19日に解除されてほぼ1週間。感染は収まっているとはいえないが、社会は徐々に活気を取り戻しつつある。そんな中、3密とは無縁のレジャーとして「釣り」に人気が集まっている。ただ、戸外で行うとはいえ、人が集まれば感染のリスクは高まる。海や浜辺での感染リスクを指摘する海外の専門家もいる。予防対策はどうなっているのか、ウィズコロナ時代の新しい釣り様式を取材した。

 向かったのは、横浜・根岸湾にある「磯子海づり施設」。平日の正午前、受け付けを済ませて釣り場へ出ると、夏のまぶしい光とさわやかな潮風。全長500メートルに及ぶ釣り桟橋はざっと100人以上の人でにぎわっている。ベテラン、初心者、カップル、家族連れ、老若男女が思い思いの格好でサオを振り、波間に浮かぶウキに目を凝らす。

 この磯子など、横浜市の3つの海釣り施設を統括する横浜フィッシングピアーズの高橋啓輔センター長は言う。

「4月初めから2カ月近く感染拡大予防のため営業を自粛。その間に予防対策を整えて6月1日にやっと再開にこぎつけました。すると、朝から連日釣り人で大にぎわいです」

 ステイホームで外出を控えていた人がどっと押し寄せたのだ。感染予防の柱としては、釣り場が3密にならないことを徹底した。

「まず定員を減らし、一人一人の釣り空間を広くしました。通常は1人1・5メートル間隔ですが、基本的に1人3メートルと約2倍の広さにしています」(高橋啓輔さん)

 磯子海づり施設は200人以上入場できるが、定員を140人に限定。しかも、釣り場には赤色のテープで一人一人の釣りスペースを厳格に区切っている。

■テープでスペースを厳格に区切る

 定員を減らしたのはいいが、再開当初の週末には200人以上が殺到して開門前から長蛇の列ができ、全員入れられないので泣く泣く帰ってもらった客も多数いた。

「そこで、現在は土日・祝日は朝9時から入場整理券を1人に1枚ずつ配布し、11時から開門する方式にしています」(高橋啓輔さん)

 整理券配布時に行列ができるため、赤い線を引いて間隔を空けて並んでもらっているそうだ。

 釣り人に対してはマスク着用を要請し、施設内の各所に消毒液を配置して手指の消毒や手洗いの徹底を図っている。

「巡回スタッフもマスク・ゴム手袋・フェースシールドの3点セットで釣り場を回るなどの対策をとっています」(高橋啓輔さん)

 釣り場を見て回ると、ほとんどの釣り人がマスク着用を守っている。3人連れの若者グループに聞くと、「マスクは暑苦しいけど、冷感・吸汗・速乾素材ならサラサラしてムレないですよ。携帯扇風機もいいかも」とうれしそうに答えた。

 工夫次第で、安全で楽しい釣りができる。現在、イワシ、アジ、シロギス、カサゴ、40センチクラスのクロダイなど多彩な魚が顔を見せている。

(取材・文=世良康)