【「表と裏」の法律知識】#45

 私はあおり運転はしないから大丈夫と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、現実に起きているあおり運転被害は、実はあおられている被害者側のふとした運転がきっかけになっているケースが非常に多いのです。

 今月、改正道路交通法が国会で成立し、月末から施行される予定です。今回の改正の注目点は2つあります。1つ目はあおり運転の定義が明確になったことです。通行妨害の目的で以下の10パターンの行為をすることが「あおり運転」にあたると定められました。

①車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
②急な進路変更を行う(進路変更禁止違反)
③急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
④対向車線にはみ出す(通行区分違反)
⑤危険な追い越し(追い越しの方法違反)
⑥執拗なクラクション(警音器使用制限違反)
⑦執拗なパッシング(減光等義務違反)
⑧幅寄せ、蛇行運転(安全運転義務違反)
⑨高速道路での低速走行(最低速度違反)
⑩高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)

 そして2つ目は単にあおり運転をしただけで3年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに違反点数25点で一発免許取り消しというかなり重い刑罰・処分が科されることになったという点です。

 このような妨害運転をする方は少ないかもしれません。しかし、あおり運転の多くの事案が「道交法違反やあおり運転をされたからやり返した」のような違反運転に天罰を下すべく、歪んだ正義感からあおり運転のスイッチが入ってしまうケースなのです。

 通行妨害の目的がなくても、①〜⑩と誤解されるような運転、例えばブレーキをかけるのが遅くて車間距離が詰まったり、やや無理な車線変更をしたりという経験がある方も多いのではないでしょうか。また走行車線ではなく追い越し車線を走り続けることもあおられる原因になりやすいです。

 誰にでもあおり運転を誘発する可能性があるということには注意していただきたいです。

(髙橋裕樹/弁護士)