「冷凍食品のラザニアが好きじゃない」

 最初はそう言いたかっただけだったのに、彼女の人生を変えるミッションになった……。

 米紙ヒューストン・クロニクル(6月24日付電子版)などによると、ワシントン州ギグ・ハーバーに住むミシェル・ブレナーさんはメンズウェアの店で働いていたが、3カ月ほど前、新型コロナウイルスの感染拡大で一時解雇された。

 ミシェルさんは自宅で「何はともあれ大きなラザニアを焼こう!」。その写真を地元コミュニティーのフェイスブックに投稿し、「本物のイタリア式の自家製ラザニアは、店で買う冷凍食品のものとは段違いのおいしさです」とアピール。

 そして「もし作り立ての、カロリー表示なんかない自家製のラザニアが食べたかったら、連絡ください。喜んでごちそうします」と付け加えた。

 最初は近所の退職した高齢者や、失業した友人らから連絡があったが、この話が少しずつ広まって食事を買うお金に困っている人からもリクエストが来るように。

 ミシェルさんは「得意のラザニアを作ることで、新型コロナで打撃を受けた地元コミュニティーに貢献することができる」と気づき、毎日、ラザニアを焼くことを自らのミッションにすることを決意。

 最初は、1200ドル(約13万円)の給付金で、ラザニアの材料を買っていたが、すぐに足りなくなるのは明白だったので、オンラインで寄付を求めたところ、多くの人びとがミシェルさんの活動に賛同。これまでに2万2000ドル(約240万円)以上が集まっている。

 自らを「ラザニア・レディー」と呼ぶようになったミシェルさんは、6月24日までに1257皿のラザニアを焼き、生活に困窮している家庭、新型コロナの最前線で戦っている医療関係者などに無料で提供した。今後もミッションを継続する予定だ。

 ミシェルさんはヒューストン・クロニクルにこう語った。

「私たちが知っている世界は崩壊しています。でも、私にも自分の手でやれることがあります。世界は変えられないけど、ラザニアを焼くことはできます」