【話題の焦点】

「ただの風邪」などと新型コロナウイルスを軽くみているのは、ブラジルの大統領だけではないようだ。

「緊急事態宣言が解除されて、以前の4割ぐらいまで常連さんが戻ってきてくれています。それはそれでありがたいんですが……」と、東京都中央区でダイニングバーを営業する優子さん(42=仮名)はこう続ける。

「入店前に手指の消毒をお願いしているんですが、中には『俺は大丈夫だから』『俺は感染しないから』と、ズカズカと入ってくる常連さんもいるんです。それを聞いている周囲のお客さんがドン引きしていることに、まるで気づかない。コロナ以前は“豪快な人”と好感を持っていたんですが、今じゃただの“困ったちゃん”ですね」

 そういうタイプに限って、飛沫をまき散らすほど大声でおしゃべりしたりする。穏やかに楽しむことができない。優子さんとしても長年、世話になってきた常連だけにムゲにはできないが、他の客が離れていかないか、心配なんだとか。

 博報堂生活総合研究所の「第3回 新型コロナウイルスに関する生活者調査」(6月)によると、「外食を控えている」人は前月調査から7・2ポイントダウンと減少に転じたとはいえ、まだ83・8%と高水準だ。

「客が戻りつつあるとはいえ、飲食店はソーシャルディスタンスや換気といった3密対策を続けていかなければいけない。夏場は食中毒の心配があるうえに、“困った客”に頭を悩ませている関係者も少なくありません。小さな店では“出禁”もやむなしという話も耳にします」(フードジャーナリスト)

 皆が四苦八苦している時に傍若無人な困った客の気持ちは、ちと理解に苦しむ。

 米心理学博士で医学博士の鈴木丈織氏はこう言う。

「人には誰でも特異性、つまり“自分は他人とは違う”ことをアピールしたいという欲望がある。ただ人によって“強弱”があります。新型コロナ禍のような緊急事態なら大抵の人は欲望を抑えられますが、異常に強い人は皆が同じ行動を取っているからなおさら、自分は違うことをアピールしたがる。この手のタイプはプライドが高いので、下手に注意すると意固地になります。やんわりとお願いするという姿勢がベターでしょう」

 厄介だ。