昨年のW杯で湧き起こったラグビーブームが年を越しても続いている。

 11日に国立競技場で行われた大学選手権決勝は、早稲田大学が明治大学を45―35と破って11年ぶりの優勝を果たしたが、詰めかけた観客は5万7345人。元日のサッカー天皇杯決勝とほぼ同数で、新装なった国立での“ラグビーデビュー”を満員で飾った。

 翌12日にはトップリーグが開幕。8試合が6会場で行われ、神戸製鋼対キヤノン戦の2万3000人を筆頭に、観客数を5桁に乗せた試合が5試合。合計で11万6000人超の観客を集めた。熊谷ラグビー場で行われたパナソニック対クボタ戦も観客が1万7000人を超えたが、両者が昨季の開幕戦で顔を合わせたときは4199人。一気に1万3000人も増えた背景には、五輪競技の7人制に専念するため「2試合限定」でトップリーグに出場する福岡堅樹や、「笑わない男」稲垣啓太らW杯代表組への高い関心があった。

 ちなみに昨季の開幕節8試合の合計観客数は8万3000人あまり。4年前の“五郎丸ブーム”のときには一般販売するチケット枚数の見積もりを誤り、完売にもかかわらず空席を出す運営の拙さで、開幕節8試合で6万7000人しか動員できなかったが、日本ラグビー協会もさすがに同じ轍は踏まなかった。

 今季のトップリーグは5月9日の最終節で終了するが、6月27日には、日本代表が昨年のW杯で4位に入ったウェールズとテストマッチを行うことが決定。7月のイングランドとの2試合を含めて、急増した“にわかファン”を引きつけるコンテンツが上半期は出揃った。W杯を戦った選手たちが唱えた、「ブームを文化に定着させる」試みは成功しつつある。

 しかし、下半期は依然として未定のままだ。今秋からは、清宮克幸・日本協会副会長が提唱したプロリーグではなく、従来のトップリーグに、下位リーグに属する8チームを加えた24チームで戦う案が浮上している。だが、24チームをひとつに集めるのか、それとも複数のグループに分けるかなどは具体化しておらず、「下位リーグとトップリーグ上位チームが戦えば大差がつく。それが普及や強化につながるのか」(チーム関係者)という懸念も出ている。

 トップリーグは過去に参加チームを2つに分けてファーストステージを戦い、成績順にもう一度チームを2つに分ける「2グループ、2ステージ制」を導入したことがあった。しかし、ファンに「わかりにくい」と不評で、地方開催の下位チーム同士の試合では観客が激減。14年のセカンドステージでは、NEC対サニックス戦で観客443人という珍記録まで生まれている。

 こうした事態を防ぎ、ラグビーをどう「文化」として定着させるのか。ブームの陰で運営側の「知恵」が問われている。

(スポーツライター・永田洋光)