前日までの覇気もなく、支度部屋では終始うつむいていた。

 15日、大関とりを狙う朝乃山(25)に土がついた。立ち合いから阿炎のもろ手突きで上体を起こされると、怒涛の突っ張りに耐えきれず、押し倒された。

 支度部屋では意気消沈。

「前に出られなかった。ダメな相撲でした」

 と話し、「自分の持ち味を出せなかった。悔しい。明日以降? 前に出て相撲を取りたいです」と、反省ばかりが口をついた。

 188センチ、177キロの体で、右差し、左上手を得意とする正統派四つ相撲の力士。前に攻めながらまわしを探るスタイルを身につけてからは、メキメキと成長している。

 一方、鍛え抜かれた体に比べて、メンタルは強い方ではない。本人が常々、「僕はメンタルが弱い」と言っているのも、謙遜ではなく事実だ。

 かつては連勝と連敗を繰り返すツラ相撲。7勝3敗から5連敗したことは過去2回もある。敗戦を引きずって、ずるずると黒星を重ねてしまいがちだ。

 ある親方は「先場所の千秋楽が顕著だった」と、こう続ける。

「すでに14日目の時点で優勝は白鵬に決まっていたとはいえ、大関とりのためにはひとつでも多く勝っておきたかったところ。それが正代相手に立ち合いから何もできず、なすすべなく寄り切られた。結局、11勝4敗。仮に勝っていれば12勝で、今場所の大関とりのハードルも低くなったはず。大事な場面で負けているようでは、審判部に与える印象も悪くなる」

■稀勢の里の二の舞い?

 大関の昇進基準は三役で3場所33勝。ここ2場所で21勝とはいえ、9月場所は平幕だった。今場所は単に12勝では厳しく、勝ち星の上積みや優勝、あるいは優勝次点などの材料がなければ昇進は持ち越しになりかねない。

 体と違って、アタマはなかなか鍛えられないもの。稀勢の里のようにならなければいいが……。