投手にとって、球速と制球は相いれない関係にあるといわれている。全力で速い球を投げようと思えば力むし、フォームは乱れる。フォームに狂いが生じれば、制球も乱れるのが道理だ。プロ野球界には速い球を投げる投手がゴロゴロしているが、たいていは制球に難がある。

 そんな球界の“常識”を覆す可能性があるのがロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希(大船渡)ではないか。

■初ブルペンを首脳陣も捕手も絶賛

 石垣島キャンプ最終日となった13日、初めてブルペン入り。捕手を立たせたまま投げ込んだ25球を、周囲は絶賛した。

「今年ブルペンを見た中でナンバーワン。まだ調整段階なのにね」と、井口監督が舌を巻けば、吉井投手コーチも「あれだけのボールを投げる投手は見たことない。すごかったよ」とベタボメした。

 佐々木の球を受けた捕手の柿沼は「体感で155キロは出てた。ミットが切れるかと思った」と口をあんぐりさせたくらいだ。

 本人が「全体的にダメだった」と不満の表情を浮かべたのは自分なりのテーマを消化できなかったからで、それは今後の課題になる。

 キャンプ前、佐々木が投げている映像を見た吉井投手コーチは、日刊ゲンダイのインタビューでこう言っていた。

「実際に見てみなければ分かりませんけど、フォームがまとまっている。足を高く上げた後にバランスが崩れないというのもあるし、股関節が柔らかい子は自分の重心をうまくコントロールできる」

「あのスピードがあって、そこそこのコントロールがあれば、やっぱり、ずばぬけたピッチャーになるんじゃないかと思う」

 高校時代に163キロをマークしたことで、速い球を投げられるのはすでに実証済み。問題はそれだけ速い球を制御する制球力だったが、間近でブルペン投球を見た吉井コーチは改めてフォームがまとまっている、傾斜のあるマウンドで投げてもフォームが乱れないことを確認したのだろう。それが「あれだけのボールを投げる投手は見たことない」という評価につながった。

 かつての教え子のダルビッシュ(カブス)や大谷に限らない。メジャーで5年間プレー、日本球界どころか大リーグでもトップクラスの投手を山ほど見てきた吉井コーチが、ルーキーに速さと制球を両立させそうな資質を見いだした。先が楽しみな新人であることは間違いない。