【世界ゴルフ新潮流】

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。国民は不安に怯える一方だ。自粛要請で生活を楽しむ余裕はなくストレスがたまる一方だろう。こんな時こそファンあっての人気商売の出番だ。

 サッカーの香川真司や岡崎慎司はスペインから、日本のファンに向かって元気づけるメッセージを送っている。それは他の選手も同じだ。

 お笑い芸人のピコ太郎は手洗いと平和を祈る動画を世界中に発信し、絶大な影響を与えている。

 大勢のファンを持つスターからのメッセージ効果は、どんな言葉や説得よりも人々の心に素直に染み込んでいくものだ。

 米国では、歌手のレディー・ガガが呼びかけて、エルトン・ジョンやポール・マッカートニーら100組の歌手をつないで、コロナウイルスに従事する医療関係者への応援歌を全世界へ配信している。

 俳優のレオナルド・ディカプリオやロバート・デ・ニーロらはコロナ基金を立ち上げ、ファンに寄付を募っている。こうしたスポーツ界や芸能界からの支援の輪は、感染で苦しむ人たちに勇気を与えている。

 では日本のプロゴルファーはどうだろう。女子プロは有村智恵らが音頭を取って「ladygo.golf」のアカウントを立ち上げ、選手の多くがメッセージを配信している。

 自身たちの近況報告が中心だが、トーナメント会場で応援することができないファンにとってひとつの楽しみではある。

■ファンファーストを実行する好機

 では男子プロは、というとこれといった動きは見られない。選手は現在、試合が中止になって時間はたっぷりあるはず。こんな時こそゴルフファンに向けてメッセージを発信するいいチャンスではないか。

 ファンに、自宅でもできる練習の仕方、自分たちが日頃行うストレッチやトレーニングのやり方、スイングのポイント、クラブの手入れ方法や、選び方、実戦でのコースを攻めるポイントや考え方。

 トーナメントで戦うプロだからこそのノウハウはいくらでもあるはず。有名選手がリレー方式で配信していくという方法もある。プロはファンあって成り立つ。

 今年から選手会長に就任した時松隆光は「選手の価値を高め、ファンサービスの向上」を宣言している。多くの人がコロナ禍に苦しんでいる今こそ、手をこまねいていてはいけない。これでは「ファンファースト」は口先だけと思われても仕方がない。

(宮崎紘一/ゴルフジャーナリスト)