アタマの中をのぞいてみたくなる。

 新型コロナウイルス感染拡大で来夏に延期された東京五輪の開催について、“ワクチンの開発に依存しない”とする見解を示した、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長(写真)のことだ。日本医師会の横倉義武会長が「有効なワクチンが開発されないと東京五輪を開催するのは難しいのではないか」と話したことを受け、東京五輪の準備を監督するコーツ氏は「それはひとつの考え」としたうえで、「世界保健機関(WHO)からは、準備を継続するべきだと助言を受けている」と述べた。

 コーツ氏が頼りにしているWHOの信頼は今やガタ落ちだ。中国・武漢での新型コロナの感染拡大当初、中国の方針通りに6日も公表を遅らせた。WHOのテドロス事務局長はこれまで中国寄りの発言が多く、米国は両者の癒着疑惑について調査を開始している。中国本土のコロナによる死者数が5000人に満たないことを真に受けているWHOの「お墨付き」など何の保証にもならない。

 今後アフリカでは、新型コロナの感染爆発も予想されている。医療の専門家の「ワクチンができなければ来年の五輪開催は難しいのでは」との見方は当然で、IOC内部でもそう考えている者が少なくないという。コーツ氏はIOCの中では最も日本の現状を知っている幹部だ。「ワクチン開発に依存せずとも五輪は開催できる」という希望的観測は、立場上のポーズにすぎないのではないか。