新型コロナウイルスの感染拡大によって中断していたドイツのブンデスリーガ1部、2部が10週間ぶりに再開する。16日にリーグ2位のドルトムントと宿敵シャルケとの<ルール・ダービー>が行われるのである。

 ドイツ国内にも「時期尚早ではないか?」と懸念する向きは少なくないが、それにしても今回のリーグ再開の決定打となったドイツサッカーリーグ機構(DFL)の「再開計画書」の綿密さには脱帽するしかない。
<無観客試合><スタジアムには両チームの選手やスタッフ、ジャーナリストなど300人以内><各チームの選手全員が9日にPCR検査を受けた上で完全隔離の状態で1週間のトレーニングを行う><試合前日にはPCR検査を必ず受ける><選手とスタッフはホテルを貸し切って完全に隔離><トレーニングも隔離された練習場で行う>など細かく記されている。

 DFLは計画書の内容を各州の知事に丁寧に説明し、メルケル首相から「再開を承認する」という言葉を引き出した。理路整然とコトを進めないと気が済まないドイツ人気質が伝わってきた。

 世界の主要プロスポーツリーグで初となる偉業の背景には<社会的な要請>も無関係ではない。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)や欧州全土でのロックダウン(都市封鎖)によってドイツ国民は精神的に疲弊し、ストレス解消のためにも生活の大きな一部であるブンデスリーガ再開を望む声は非常に大きかった。昨季のドイツ1部、2部の収益合計は5500億円。今季が再開できずに終了してしまった場合、テレビ放映権料の未払い分など860億円の減収となり、破産状態となるクラブが10前後出る――と報じたメディアもあったが、破産阻止のためにもリーグ再開は絶対的な命題だった。

 欧州各国リーグの状況を見るとフランス、オランダが打ち切りを表明しているが、例えばハンガリーが23日、ポーランドが29日、ポルトガルが30日に再開を予定。イタリア、イングランド、スペインの強豪国に加えてスイス、トルコ、ロシアなどが6月中の再開に向けて動きだしている。

 言うまでもないが、ドイツ以外の各国リーグ関係者はDFLの計画書を精査し、自国リーグを安定的に運営するためのバイブルとするだろう。世界中が「見えない敵」である新型コロナと戦って勝利するためにも、ドイツのリーグ再開を英断として前向きに捉えたい。

(鈴木良平/サッカー解説者)