東京オリンピック(五輪)の聖火リレーコースに福島県双葉町を追加決定したことを13日、東京五輪・パラリンピック組織委員会が発表した。

これで全国859市区町村で聖火リレーが実施されることになった。同町は2011年3月の東日本大震災、東京電力島第1原発事故による避難指示で全町避難が続いているが3月4日、JR双葉駅周辺など一部地域の避難指示が解除され、聖火ランナーは解除区域のJR双葉駅周辺を走るとみられている。

   ◇   ◇   ◇

「復興五輪」が掲げられた東京五輪ながら聖火リレーコースに組み込まれていなかった双葉町を、聖火ランナーが復興へ駆け抜ける。全国の聖火リレーの初日となる3月26日には大熊町など9市町村をめぐる予定が発表されていたが、双葉町の名前はなかった。東京電力福島第1原発の立地町で、全国で唯一、全町避難が継続する双葉町での聖火リレーは復興を国内外に大きくアピールすることになる。

1月17日に政府は双葉町の一部地域の避難指示を3月4日午前0時に解除することを決定した。これを受け、県は大会組織委員会に同町の追加を要請していた。正式決定に伊沢史朗町長は「双葉町内をオリンピック聖火ランナーが走ることは、双葉町民のみなさんの心に希望の光をともし、町の復興を後押しする機会となり、大変喜ばしく思う」と語った。

全国をめぐる聖火リレーは3月26日に福島県楢葉町と広野町にまたがるサッカー施設で原発事故に対応する最前線基地となり、昨年4月に全面再開した「Jヴィレッジ」の第9番ピッチのセンターサークルからスタート。広野町〜いわき市〜川内村〜大熊町〜双葉町〜富岡町〜葛尾村〜浪江町〜南相馬市の順で通過していく。双葉町のコースは避難指示の解除地域で3月14日、約9年ぶりに全線復旧するJR常磐線の双葉駅周辺と、隣接する同町の北東部約200ヘクタールのエリアが有力だ。

双葉町出身で県の公募枠ランナーに決定している声優兼女優桜庭梨那さん(24)の「思い出が詰まった故郷を走りたい」という夢がかなうかも知れない。桜庭さんは中学校の卒業式があった日の午後2時46分に東日本大震災が発生した。双葉町の調査では避難している町民の約60%が「今の現状では戻れない」と答えている。生まれ育った故郷をともす聖火は、復興の大きな一歩となる。【大上悟】

◆双葉町の現状 全町避難が続く町は3月4日に避難指示解除準備区域の一部と帰還困難区域の一部である双葉駅周辺の避難指示が解除される。町の避難解除は、2011年3月12日に東京電力福島第1原発1号機で水素爆発が発生して、半径20キロ圏内の住民に避難指示が出されてから初。震災と原発事故に伴い、不通となっていたJR常磐線の富岡駅〜浪江駅(約20・8キロ)が3月14日、開通し約9年ぶりに全線復旧する。町の人口は19年末で5911人。事故前の11年2月末は7100人だった。町民は国内外に避難している。