来年閉校の安佐北高野球部、勇気届ける夏1勝目指す

来年閉校の安佐北高野球部、勇気届ける夏1勝目指す

 西日本豪雨で警察庁は12日、被災地での死者が14府県200人に上ったと発表した。広島、岡山両県を中心に60人超が安否不明となっている。約7000人がなお避難を余儀なくされている中、甚大な被害を受けた広島市安佐北区にある安佐北高野球部が、豪雨以来中止していた練習をこのほど再開。来年3月に閉校する同校は今春に11人の部員がそろい、2年ぶりの単独出場で最後の夏を迎える。「一戦必勝」で、被災地に勇気を届ける。

 グラウンドに、選手たちの元気な声が響く。この日集まったのは、学校行事で欠席した2年生らを除く8人(マネジャー含む)。ベースランニング、ノック、トスバッティングなど約1時間半、汗を流した。遊撃手の仲本昂世(こうせい)主将(3年)は「こうやって当たり前のように練習ができることがうれしい。安心しました」と笑った。

 安佐北区は、豪雨で大きな被害を受けた。同校に通う生徒は全員無事だったが、土砂災害や交通まひの影響で、いまだに通学できない生徒もいる。校舎から約10キロに位置する同区口田南では、土砂崩れで3人が死亡。土砂に流された住宅も多い。

 同区可部町で家族6人で暮らす仲本主将は、4年前に同区や安佐南区で発生した豪雨で、2階建ての自宅が床下浸水。雨が降り続き、ニュースを見るたびに「4年前と同じになるんじゃないかと不安でした」と話した。

 7日開幕の予定だった高校野球広島大会は、豪雨の影響で大幅に延期(17日開幕)。野球部もその日以来、練習ができなかった。それでも正中(しょうなか)純平監督(34)の「安全に気をつけながら」という指示を守りながら、全員が毎日ランニングや素振りなどの個人練習を行った。11日の学校再開とともに、野球部も全体練習を再開。正中監督は「普段から選手が自分たちで練習メニューを考えている。そういう意味でも、この4日間についても心配はしていませんでした」。体のキレは多少落ちているというが、20日の初戦に向けて調子は上々だ。

 同校は、中高一貫教育の広島中等教育学校の設置に伴い、来年3月で閉校する。昨夏は部員が足りず、湯来南高との合同チームで出場したが、今年は11人が集まり2年ぶりの単独出場を果たす。仲本主将は「自分たちにできるのは、全力でプレーすることだけ。見ている人にその思いが届き、被災した人たちにも勇気を与えることができれば」。現3年生が高校入学後、公式戦の勝利はゼロ。安佐北ナインは最後の夏に「1勝」を目指す。【太田皐介】

 ◆安佐北高校 1984年(昭59)創立の市立校。03年に安佐北中学校が開校し、広島県内で最初の併設型公立中高一貫校となった。14年、敷地内に広島市立中等教育学校が開校。そのまま学校が移行されるため、来年3月、現3年生の卒業をもって閉校する。安佐北中は16年3月末で閉校。主な卒業生に、現プロ野球楽天の近藤弘樹投手。久保田まゆみ校長。


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