虎の守護神が前人未到の記録に挑む。阪神藤川球児投手(39)が15日、沖縄・宜野座村のかりゆしホテルズボールパーク宜野座で自主トレを公開した。昨年の自分に勝つことをテーマに、40歳では例のないシーズン防御率0点台を目標に掲げた。05年以来となる悲願のリーグ制覇へ、ベテラン右腕が、未知の領域に足を踏み入れる。

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晴れ渡る沖縄の空の下から、藤川が未知の記録へチャレンジする。今年で不惑を迎えるベテランは「未知が毎日くるだけですから」とこの先の変化を恐れる様子は全くない。昨季は7月からクローザーに復帰。56試合で16セーブ、防御率1・77。プロ22年目を迎える守護神にとって、戦う敵は「自分自身」だ。「昨年のシーズンがたまたまですけど、自分の中で自分への勝負に勝ったと思えた。今年も自分に勝とうとするには、昨年以上のものがなければいけない。自分との勝負って自分でしかない。面白いなと思う」。

昨年の自分に勝つために、求める数字は防御率0点台だ。これまで40歳を迎えるシーズンで10イニング以上投げ、防御率0点台で終えた選手はいない。「1点台が普通で、0点台でシーズンを終わりたいと常に言っている」。藤川は06年と08年に2度0点台を記録。進化をやめないベテランなら未知の記録も夢ではない。

藤川はこの日、一昨年からウエートトレーニングをやめていたことを明かした。「自分が生きていく中で持つ必要のない負荷でやった時の結果は、全然良くなかった。自分としてはウエートトレーニングよりも自分の体をどうさばけるか」。これまでヨガやピラティスなども試してきたというが、話すことはなかった。自体重のみでトレーニングを行うことの効果は、藤川が経験と挑戦を重ねて導き出した1つの理論だ。

6日に放送されたテレビ番組内のインタビューで、優勝したら引退することを示唆した。真意を問われると「優勝したい、それくらいのモチベーションでやっているということ。それ以外のモチベーションがないということやから」と強い思いを口にした。20年の幕が開け、今、大事なのは自分よりもチームのこと。「(引退と)言って自分が主人公になることは絶対にしてはいけない。チームで動くということは、チームが勝つためにということで、自分が輝きたいとかはないから」。05年以来の歓喜を味わうため、過去の自分を超える。【磯綾乃】

▼阪神藤川は今年7月に40歳を迎える。昨季は救援で56イニングを投げたが、40代で救援だけでシーズン50イニング以上投げたのは、81年広島・渡辺秀武(43試合、53回1/3)と91年大洋・新浦寿夫(47試合、53回1/3)=以上40歳シーズン、07年のロッテ・小宮山悟(41試合、56回1/3)=42歳シーズンの3人だけ。また、先発、救援にかかわらず、シーズン5試合以上投げた40代の投手で防御率0点台はいない。藤川が今季、タフな救援で50回以上投げれば4人目の快記録、防御率0点台をマークすれば史上初の快挙となる。

▼シーズン防御率0点台(規定投球回数以上)は過去11回(9人)あるが、うち10回は1リーグ時代で、年齢も20〜26歳シーズンでのもの。50年の2リーグ分立後は70年の阪神村山(0・98)だけで、しかも34歳シーズンでの記録だった。