阪神85年日本一監督・吉田義男氏(86=日刊スポーツ客員評論家)が13日、阪神宜野座キャンプを初視察し、矢野燿大監督(51)からシーズンの目標地点を「99試合」をメドにしていることを引き出した。東京五輪開催で日程が不規則なシーズンに、球宴までが勝負と読んでいる証拠。ショートに起用する人材の重要性を説くなど、2年目の仕上がりをチェックした。

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宜野座キャンプを訪れた吉田氏は「おおらかな雰囲気ですな」と独特の言い回しで、チームの動きを追い続けた。矢野監督と新旧監督のご対面は、シート打撃が終わった時点だ。

「今年はヨーイドンでスタートダッシュをかけないといけない。矢野監督の口を突いたのは、開幕から『99試合』という数字でした。オールスターまでが勝負と読んでいるということでしょうな」

東京五輪が開催される今季は変則日程で、世界的イベントの約1カ月間は試合が中断される。100試合終了時点で球宴(7月19、20日)を迎え、以降は8月13日まで五輪ブレークになるが、そこまでの戦いが今シーズンの行方を占うという意味だろう。

「矢野監督はどのチームにも優勝のチャンスがあると話した。混戦を予想しているということだろう。そこは外国人をどう起用するか。ボーアは4番だろうが、サンズはまだ評価しかねていた。わたしは投手2、野手2の内訳になるとみます」

昨季は開幕月にあたる3、4月を13勝14敗と負け越し。5月を勝ち越したが、6月から再び負けが込んだ。交流戦も6勝10敗2分けとつまずき、シーズン終盤に底力を発揮した形だった。

1964年東京五輪イヤーに優勝した主力で、Vメンバーだった吉田氏。「イレギュラーな今年は未知のシーズン、なおさら好スタートを切らないとペナントから取り残される」と見立てた。

「だからこそキャンプの仕上がりは気になる。85年の安芸キャンプは、スローガンの“フレッシュ ファイト フォア・ザ・チーム”の大きな横断幕が球場三塁側に掲げられた。バスをライト後方で降りてグラウンドに入ると、まず自らを戒めるためにその言葉をかみしめ、センターポールの球団旗をみて気合を入れるのを日課にしました」

吉田氏は「監督としてキャンプがうまくいかないと焦ったものです」と実体験を振り返った上で「捕手が梅野で固まったから、ショートがカギを握る」ともいった。

「総合すると木浪だろうが、どこまで北條が食い込むか。ショートは(打撃より)守りですわ。それに監督は大山、近本ら生え抜きの若手台頭と選手層を厚くすることにこだわっていた。同感です。あとは先発よりリリーフの整備だろう」

球団創設85年のメモリアルイヤー。阪神唯一の日本一監督のレジェンドは「ヤマ場は球宴後でも、そこまでの勝負。外国人次第です」とした。【寺尾博和】

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 今季のプロ野球は、東京五輪開催により7月21日〜8月13日まで24日間中断する。大イベントや天変地異などでシーズン日程が変更、中断された例はいくつかある。

▼64年東京五輪 五輪開会式(10月10日)までに終えるため、パが3月14日、セが同20日に開幕し、それぞれ9月29日、同30日に閉幕。阪神対南海の顔合わせとなった日本シリーズは7戦目にもつれこんだが、10月10日に終了した。なお、五輪には00年からプロが参加したが、シーズン中に強化試合をした例はあるものの中断はない。00年はパが主力選手を派遣したため、五輪期間中の試合を期間の前後に振り分けて減らし、影響が少なくなるよう日程を変更している。

▼ストライキ 04年、オリックスと近鉄の統合、1リーグ構想の動きによる球界再編問題のため、選手会が球団数維持などを求めて史上初のストライキを敢行。9月18、19日のセ、パ各6試合とイースタン・リーグ5試合の計17試合が中止となった。

▼地震で 11年3月11日に起こった東日本大震災のため、開幕日を当初(3月25日)から4月12日に延期した。閉幕も10月25日にずれ込んだ。