<深掘り。>

#開幕を待つファンへ 「カーブ」を掘る。原点ともいえる変化球が今、メジャーのトレンドとなった「フライボール革命」に対抗する球種として注目されている。メジャーでは持ち球とする投手が見受けられるが、現在の国内プロ野球では駆使する投手は意外と少ない。握りと感覚、極意。奥の深〜い球種の使い手に聞いた。【前原淳、久保賢吾、桑原幹久】

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昨季まで巨人の投手コーチを務めた小谷正勝氏(74)が、12年の連載「小谷の指導論」でカーブについて詳細に論じている。

変化球を投げる一番の理由が「打者のタイミングを外す」である以上、カーブはぜひとも手に入れたい球種である。スピード差も、軌道も、直球との差が最も大きい。打者を攻める基本は、直球とカーブ。そこにプラスαの球種を交ぜる。

どのようなカーブを投げたいのか。縦に大きく曲がるドロップか、それとも小さく、速く曲がるパワーカーブか。直球との球速差が40〜50キロのスローカーブか。カウント球にするか、それとも精度を追求し、勝負球とするのか。自分のスタイルに照らして、求めているベストの軌道を何度も頭に描きイメージをつける。

リリース感覚のヒントを並べる。投球動作の際、作った軸を移動させながら、ボールに「インパクト」を与え回転を加える。同時にヘッドを走らせ、リリースする。インパクトの場所は、直球が打者に一番近い。カットボール、スライダー、小さいカーブ、大きいカーブ…と、変化が大きいほどインパクトの場所は後ろに下がっていく。

カーブの達人にリリースについて聞くと、多様な答えが返ってくる。「背中のねじりを利用して投げる」「頭の後ろでインパクトをつくる」「前さばきでねじって、引っかける」などである。前2つは大きい緩いカーブ、最後は小さい、速いカーブの感覚を指しての言葉である。自分がどんなカーブを投げたいか明確にしておかないと、せっかくのヒントが迷いのもとになる。

インパクト時の手首と指先の感覚も、ヒントを示す。手首をひねる角度は、前腕に対して90度が基本になる(図参照)。より大きな曲がりが欲しければ、さらに手首を折る。小さく鋭い変化なら、手首の角度を90度よりも緩める。インパクトで力を入れる場所は、中指の第1関節、シワの部分だ。ここでボールにスピンをかける意識を強く持つ。手首の余計な力みが取れ、「抜け」が良くなる。

最後に間合いについて。ストレートは「1、2の3」と間を取る。カーブの場合は「1、2の3の4」くらい、ゆったりと間を取ってみよう。どの場所でインパクトを作れば理想の軌道が出るか。楽しみながら探していこう。

【小谷氏がうなったカーブの達人】

1950〜70年代に大洋、阪神などで活躍した権藤正利と、阪急、オリックス、阪神で80〜00年代に活躍した星野伸之を挙げた。ともに20年近く一線で活躍した技巧派の左腕。「権藤さんも星野も、極端に曲がりが大きくて、極端に遅いカーブを投げていた。割合が非常に多い共通点もあった。投げるコツを完璧につかんで、自信を持っていたのだろう。テークバックをとらない星野は特に印象的」。カーブを駆使する投手が少なくなった背景として「スライダー、チェンジアップから始まり、球種が増えていったこと。ゴロで打ち取ることに重きが置かれていく中で、落ちる変化球がフォーカスされていったこと」を指摘した。

◆巨人炭谷 カーブは球速が一番遅い球なんで、カーブだけ投げていれば、一番打ちやすい球になります。でもそこに真っすぐがあることで、球速差がつけられタイミングを外せる。変化幅も大きいため、目線を変えることもできます。いろんなメリット、デメリットがある中で、状況を見極めて使う必要があります。使い方は難しくもあるけど、効果の大きい球ですね。