<中日3−10広島>◇28日◇ナゴヤドーム

広島のドラフト1位森下暢仁投手(22)が9回途中9安打3失点、7奪三振の力投で悲願のプロ初勝利を手にした。最速153キロの直球を軸に、8回までゼロ封。完投勝利こそ逃したが、7回無失点と好投した21日のDeNAとのデビュー戦に続く快投を見せた。

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これぞ、大学NO・1右腕の実力だった。森下が8回までスコアボードにゼロを並べた。最終回に3点を失い、12球団最速の完封勝利もプロ初完投も逃したが、新人とは思えない堂々の投球を見せた。悔しげな表情でマウンドを降りたが、勝利の瞬間に、ヒーローの表情が和らいだ。「何が何でも勝ちたかった。終わり方は悪いんですが、勝てて、ホッとしてます」とプロ初勝利をかみしめた。

完璧な立ち上がりだった。最速153キロの直球、縦に大きく曲がるカーブ、切れ味鋭いカットボール、チェンジアップと多彩な変化球がさえ渡った。2回まで完全投球。3回には1死満塁のピンチを招いた。「タイムの時に『バックが守ってるから』という話をしてもらった。本当に守ってもらってうれしかった」。大島を外角の150キロ直球で遊ゴロ併殺に仕留めた。9回にこの日最速タイの153キロを記録。球威は衰えなかった。

大分商時代にもドラフト上位候補で、プロ行きを志望。しかし当時の明大・善波達也監督が大分に6度も訪れる猛アタック。加えて、当時明大4年の坂本誠志郎(阪神)、3年の柳裕也(中日)から「大学に行っても力は伸ばせる。4年間で人とのつながりはたくさん増えるから」と背中を押され、進学を決意した。

高校では野手の練習に時間を割いていたこともあり、大学では善波監督の指導の下、技術、体作り、食事、メンテナンスと徹底的に基礎から学び、最速148キロから155キロまでレベルアップ。4年時は人生初の主将を務めた。「周りを見る余裕が生まれた。(大学で)いろんな人とつながることができた」。心身ともに磨き上げ、即戦力としてプロの舞台に飛び込んだ。

あと1歩で完封を逃したが「次はやりたい」と言い切った。ウイニングボールは「ここまで野球ができたのは親のおかげ。実家に送ります」と語った。目標は大きい。「新人王を取ることが目標。1勝に満足せず、勝てるようにしっかりやりたい。球界を代表する投手になりたい」。広島の背番号「18」は長谷川良平や佐々岡監督、前田健太らが背負ってきた。名投手の系譜を継ぐ可能性を秘めた136球の熱投だった。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(森下について)「開幕3戦目でいい投球をしてくれたが、勝たせてあげられなかった。今日は打線の援護も大きかったし、自信を持って、強い球をきちっと投げていた」

◆広島森下の全投球 森下の安定した投球は初球に表れた。8回までの打者29人に対し、初球ストライクは22人。カウント0−2としたのが10度あり、うち3回までが6度と序盤でカウント有利の状況から抑えて流れに乗った。一転、3失点した9回は、対戦した6人中4人が初球ボールと入り球が対照的だった。