第92回全国選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)が11日、5日間の静岡・沼津合宿を打ち上げた。

最終日は紅白戦1試合で締め、計10戦の実戦形式で各選手はメンバー入りをアピール。昨秋はベンチ外だった鈴木誠達外野手(2年)、相沢諒内野手(2年)、宇治野駿介内野手(1年)が主力組に抜てきされてレギュラー陣を脅かすなど、競争は激化してきた。生き残りをかけた“サバイバル紅白戦”は、今月下旬の福島・いわき合宿まで続く。

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仙台育英の「下克上トリオ」が、チームに活気を与えた。ひと冬越して、一気に実力開花。それぞれの特徴を生かし、今合宿でも結果を出した。

宇治野はチームNO・1の50メートル6秒0の俊足が最大の武器。「育英の周東」として存在感を示した。「フライアウトと三振をなくすことを課題に、とにかく出塁すること。塁に出たら初球で盗塁」と自身に課している。この日も0−1の3回初打席となった無死三塁で右犠飛。2四球に加え、二塁強襲安打も放ったが「最初の打席もフライなので満足できない。あそこはゴロが求められている」。走塁では盗塁を含めて好走塁を連発。「ソフトバンクの周東さんが日本代表になったように、自分も足で育英の日本一に貢献したい」。大事な場面に切り札にもなりそうだ。

鈴木誠は速球にも変化球にも自在に対応出来る打力が魅力だ。「今までは変化球を待っていたら速球についていけなかったが、タイミングの取り方を改善して自信が持ててきた」。最速149キロ左腕・笹倉世凪(1年)から中前打。初日の紅白戦では2−0から直球を読み切って本塁打を放つなど長打力も兼備。同じ右打者の巨人坂本やヤクルト山田哲の映像なども参考にしている。

相沢も状況に応じた打力が売りだ。1死二塁からは引っ張って二ゴロで最低限の進塁。逆らわずに左前安打も放った。「秋の悔しさで、春までに何をしたら良いのかを考えて練習出来た。主力メンバーと初めて一緒にやって、もっと打率にこだわっていきたいと思えた」と刺激。ソフトバンク柳田や米メジャーリーガーから、フルスイングして率も残す術を研究している。

須江航監督(36)も「秋まではベンチ外の選手が主力級の働きをしてくれている。宇治野なんて部員73人いたら60番目くらいでしたから。秋からスタメンも大幅変更あるかも」と期待。切磋琢磨(せっさたくま)する充実の5日間に、指揮官は大満足だった。【鎌田直秀】

<総括>

◇投手

想定以上に良かった。球速は出たほうが良いけれど、質が高くなった。特に伸びたのが阿部恋(2年)。ひと冬の取り組みが良かった選手が、良い結果を出す見本になった。球速も144キロ、度胸もついた。伊藤樹(1年)も一時期の不調を完全に脱してくれた。明治神宮大会ベンチ外という人生初の挫折を乗り越え、試練が身になった。昨秋には、センバツでは15−14くらいで勝たなきゃいけないと思っていたけれど、失点は減ると思う。向坂優太郎(2年)は安定しているし、笹倉世凪(1年)も寒い仙台で149キロを出した。150キロも出ると思う。

◇打者

とにかく競争を激化させようと、実力均等の3チームに分けて、主将、副主将も任せてきた。日本一のなりかたは分からないけれど、個人のレベルアップがチームが強くなる方法であることは分かっている。1度もベンチ入りのない選手も伸びてきて「努力はウソをつかない」という説得力があった。主力級の入江大樹(2年)、宮本拓実(2年)も日を追うごとに成果を残してくれている。吉野蓮(1年)も投打において伸びがすごい。いわき合宿では、もっと高いテーマを明確にして競争が出来る。