大相撲春場所は22日、異例の無観客場所を無事に終えた。千秋楽は6年4カ月ぶりの横綱相星決戦となり、白鵬が44度目のV。静寂に包まれた場所を締めくくったのが、秋田・横手市出身で弓取り式を務めた西幕下30枚目の将豊竜(23=時津風)だった。

四股を踏めば、通常は観衆の「よいしょ〜」の声も響くが、それもない。「やっぱり寂しいですよね。でもやることは、いつもと変わらないと思っていました。今後あるかないか分からないが、貴重な体験でした」。テレビの前の視聴者にも向けた、堂々とした15日間を終えた。

19年4月の巡業中、巡業部副部長の花籠親方(60=元関脇太寿山)から打診を受けたことがきっかけだった。「最初は『えっ、まじか』って感じでしたよ」。一門の横綱鶴竜の付け人を務めながら、新たな役割が加わった。練習を重ね、今年初場所3日目にデビュー。「今は『ありがとうございました』って感じですけれど、仕事はかなり忙しくなりましたね」。弓取り式が毎日実施されるようになった1952年(昭27)以降では37人目(代役除く)。弓をしなやかに振る音も、館内に鳴り響いた。

自身の相撲も14日目に千代の勝を寄り倒しで破り、勝ち越しを決めた。5月の夏場所(東京・両国国技館)は自己最高位の幕下23枚目前後が予想される。同じ秋田県出身(鹿角市)で弓取りを務めた巴富士は小結まで番付を上げた。170センチ、140キロで突き押しが武器。関取昇進での“弓取り卒業”にも挑み続ける。【鎌田直秀】