<明治安田生命J2:千葉0−1大宮>◇第2節◇27日◇フクアリ

J2の好カード、ジェフ千葉−大宮アルディージャ戦の開始5分前。無観客のスタンドのBGMが消えると、会場のフクアリは静寂に包まれた。

普段は歓声で消されている「音」に記者席から意識を向けてみる。入場前、ピッチ裏で選手の気合のかけ声が上がる。キックオフを直前、選手がスパイクでボールをたたく低い音が響いた。記者席からは遠いサイドに入った千葉GK新井が円陣で「いくよ、いくよ」と味方を鼓舞する。普段ならかき消されるはずの声がはっきりと届いた。

キックオフ。すると、無観客にもかかわらず千葉のチャント(応援歌)が聞こえてきた。これはチームが企画した「リモート応援」。公式サイトの特設応援ページに入ると「歓声」「拍手」「激励」といったボタンを好きなタイミングで何度でも押せるようになっている。押すとスタジアムのスピーカーから音が流れる仕様だ。応援ページ内の速報値で千葉側は80万回以上ボタンが押され、試合を通じて途切れることはなかった。

そんな中でもピッチから、一流の発する音は、記者席に近いサイドから届いてきた。「裏」「後ろ」などと、位置取りを指示する短い言葉が飛び交う。他にも選手の主張、競り合って体がぶつかるにぶい音。中でも、千葉GK新井章太が出すテノール系の声がよく通り、よく聞こえてきた。

生の歓声がなくなると、チームの勢いや試合の流れの変化が生まれづらいと感じた。いいプレーがあっても選手に大歓声が届くことはない。選手からよく聞く「サポーターがいなくて、モチベーションの保ち方が難しい」との感覚が理解できた。サポーターは12人目の選手だと痛感。スタジアムの熱気や高揚感は、ピッチとスタンド一体で作られるもの。コロナ禍で先行きは不透明だが、ピッチからの音がかき消される“これまでのJリーグ”が懐かしく感じた。【岡崎悠利】