<J1再開が待ち切れない日刊スポーツ記者が選ぶカズの「思い出のゴール」(1)>

カズダンスをJ1で再び−。7月4日にJ1が再開する。注目はプロ35年目を迎えた横浜FCのFWカズ(三浦知良、53)。ワールドカップ(W杯)が遠かった時代、サッカーを国民的スポーツに押し上げたレジェンドの偉業を、全サッカーファンが待ち望んでいる。

日刊スポーツの歴代の担当記者が思い出のゴールについて語ります。

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横浜・三ツ沢球技場は超満員だった。1990年10月28日、読売クラブ(現東京V)は日本リーグ開幕戦でNKKと対戦した。2シーズン後のプロ化に向け、新加入のカズへの期待は大きかった。背番号24がボールを持つたびに、歓声が沸き、スタンドが揺れた。

人気先行だった。7月末にブラジルから帰国し、いきなりアジア大会日本代表に選ばれた。もっとも、8月に公式戦デビューしたJリーグ杯(現ルヴァン杯)は、開始直後に負傷退場。「本場仕込み」の実力披露はお預けとなっていた。

すでに実力と人気を誇っていた読売にとっては「よそ者」の加入。おもしろいはずはない。露骨に「冗談じゃないよ」と言い放つ主力もいた。カズも「パスが来ない」と話したが、ブラジルでの経験から苦境を乗り越える術は知っていた。

結果を出すだけが「読売の一員」になる道だった。この日、自らはPKでゴール。日本リーグ&Jリーグ通算172得点の記念すべき1点目を決めたが、それ以上にアシストが目立った。菊原、武田、ラモスのゴールをお膳立て。4−0の全得点に絡んでみせた。

1年目こそ満足な成績ではなかったが、少しずつチームメートの信頼を得て人気以上の実力をみせた。同時に周囲の期待は「アシスト」から「ゴール」へと変わり、ゴール後のダンスまで加わった。そんな期待に応え続けるのが、カズのすごさ。「1人カズダンス」が期待されれば踊る。舞台は30年前と同じニッパツかもしれない。【荻島弘一】(90〜95年、06、07年担当)