<見た!撮った!映える!アスリート百景>

新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛の「ステイホーム」が続いている。アスリートも同じだが、世界を舞台に戦ってきた、たくましい選手たちのスマートフォンなどには「これ!」というオススメの風景がある。“映え”る絶景や思い出の街、風景など、思い入れある1枚を随時連載で紹介する。第9回はスポーツクライミング男子杉本怜(28=マイナビ)。

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「ここに座って大丈夫か!?」。そう思わせる、この絶景絶叫写真がお気に入りです。14年9月にオーストリア・ザルツブルク郊外にある「世界最大の氷の洞窟」と呼ばれる、アイスリーゼンベルトの入り口から撮影しました。標高約1600メートル。断崖絶壁に置かれた1枚の横板に座り、そこから見たアルプスの山々の景色は、長いツアーの最高の癒やしになりました。

当時は、今では考えられない4週間のツアーでした。ボルダリング世界選手権ミュンヘン大会に出場後、招待試合や自主トレでイタリアやスイスなどを回って、最後に観光で氷の洞窟へ行きました。東京五輪の新競技に決まった16年までは、海外遠征の自由時間の思い出がたくさんありました。ただ、日本代表であっても航空券やホテル予約などを全て自分で行うため、苦労も多々ありました。五輪によってクライミングが注目され、選手として競技環境が整備されることは非常にありがたいですが、6年前のこの写真を見て懐かしさも覚えました。

コロナ禍による自粛生活では、(昨年2月に結婚した)嫁と週1日でオンラインヨガを始めました。じんわり汗をかきながら、自粛疲れのメンタルも改善され、チャレンジして大正解でした。東京五輪が1年延期となって正直、気持ちの変化はあります。時間は残酷です。半年前までは「絶対に五輪に出る」と燃えていましたが、現在は五輪以外の新たな目標も設定して前に進んでいます。

○…日本代表選手会の会長を務める杉本は、五輪選考基準問題の早期解決を願った。「スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定がどんどん延びて関わる選手たちは歯がゆい思いをしている。そこが迅速に進めば、五輪へのモチベーションも変わってくると思うので、早く答えを出してほしい」と訴えた。日本協会は昨年11月、五輪代表2枠目の選考基準を巡り、国際連盟をCASに提訴。4月に聴聞会が予定されていたが、新型コロナの影響で延期となった。新たな日程は未定で、問題は長期化している。

◆杉本怜(すぎもと・れい)1991年(平3)11月13日、札幌市生まれ。小3で競技を始める。札幌西高から早大先進理工学部に進学。15年3月に同大卒業後、プロクライマーとして活動。13年ボルダリングW杯ミュンヘン大会、18年同W杯ベイル大会優勝。趣味はテレビゲーム。家族構成は妻。170センチ、63キロ。血液型A。