ヤフーでの挫折バネに組織改革 ジャパンネット銀社長

 インターネット専業のジャパンネット銀行が、親会社のヤフー流の経営改革に乗り出した。ネットと銀行という異なる文化を融合し、激しい競争を勝ち抜いていく重責を担うのが、ヤフーから初めて社長に就いた田鎖智人氏だ。ネット企業のスピード感を銀行に植え付けると同時に、社員のやりがい、働きがいの実現にも強い意欲をみせる。「ヤフー時代、チームづくりで失敗した経験を二度と繰り返したくない」との思いが原動力だ。

■全社員300人と対話、4カ月で2巡

 ジャパンネット銀行は2000年、さくら銀行(現・三井住友銀行)が主導し、日本初のネット専業銀行として発足。ヤフーは06年に資本・業務提携し、18年2月に子会社化した。田鎖氏は06年から同行の社外取締役を務めており、子会社化に合わせて社長に就いた。

 就任早々に始めたのが、300人近い全社員とのミーティング。十数人ずつのグループに分けて実施し、1カ月ほどで全員と顔を合わせた。1巡目は部署ごとにグループ分けしたが、「上司がいると下の者は話しにくい」との声があり、2巡目は階層ごとに実施。すると、現場の社員から様々な意見が出るようになった。

 全社員との対話は、ヤフーが進めている上司と部下の面談「1on1」を取り入れたものだ。田鎖氏はそれだけでなく、対話した後に感想を聞くアンケートも実施することにした。「僕の自己満足にならないよう、みんなにとって実のある対話にしたい。そのためにはフィードバックが不可欠」と考えたからだ。実際、1巡目の対話後のアンケートでは、意外な回答もあった。

 ミーティングで田鎖氏は「社員が安心して、かつ楽しく働ける風土にしたい」と話した。それに対し、「仕事は楽しいだけじゃない。自分が求めているのは楽しさよりやりがいだ」という意見が少なからずあったのだ。「仕事を通じて会社への貢献を実感したい社員が多いということ。そのためには何ができるか」。田鎖氏は社長として目指すべき職場の姿として、安心、楽しく、に加えて「やりがい」も加えることにした。

 常にフィードバックを求めるのは普段の業務でも同様だ。例えばメディアの取材を受けたとき。当初は広報担当者に「今の対応どうだった」と聞いても、当たり障りのない答えしか返ってこなかった。それでは改善につながらないため、「良かった点1つに対して、改善点を3つ挙げてほしい」と具体的に要望。広報担当者にとっても「指示された方が言いやすい」と好評だという。


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