目指すは孫さん流「伝わる英語」 元秘書の習得術とは

米国人などのネーティブ講師による1対1レッスンに加え、専任コンサルタントが進捗管理や悩み相談に対応――。こんな「コーチング英会話」と呼ばれる手法で事業を拡大しているのが、トライオン(東京・千代田)だ。創業者の三木雄信社長はソフトバンク(現ソフトバンクグループ)で孫正義会長兼社長の秘書を務めた経歴の持ち主。海外大手企業との交渉など真剣勝負の場で鍛えた英会話学習のツボとは。

■交渉の場でしどろもどろ、一念発起し猛勉強

「He is a scary man.(こいつは、とんでもないやつだ)」

1998年の夏、ソフトバンクに入社して間もなくの出来事を三木氏は今も忘れない。孫社長の秘書として米国のIT(情報技術)大手との交渉に同行した際、孫氏からいきなり会話を振られた。入社の際、「英語は日常会話なら大丈夫」と説明していたのだが、実は会話はまるでダメ。しどろもどろで訳の分からない英語を話してしまい、交渉相手が発したのが冒頭のひと言だった。

「もう恥ずかしいやら、悔しいやら。これではいかんと」。一念発起した三木氏は帰国後すぐ、早朝1時間の英会話スクールに毎日通い始める。そこでの学習方法は、米国映画のセリフを書き写した本を読みながら、同時に音声も聞いて、すぐに口まねするシャドーイングと呼ぶ手法。三木氏はマイケル・ダグラス主演の「Wall Street(ウォール街)」を丸ごと聞き込んで覚えるようにした。

本業では、孫氏が仕掛ける様々な海外買収案件や、割安な通信のADSLサービス「ヤフーBB」の立ち上げなどでも様々な海外企業との交渉を担当。こうしたビジネス交渉で使える英語をゴールに定め、無駄な学習は省略。定期的にテストを受けて習熟度を把握し、足りないところを補う。「要は本業の仕事と同様、プロジェクト管理の要領でPDCA(計画、実行、評価、改善)を回すのが大切だとわかった」。ほぼ1年で、通訳なしで交渉ができるレベルの英会話をマスターした。


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