新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、世界が激変している。ニューノーマル(新常態)時代の幕開けとともに、企業や私たち個人はどう行動しなければならないのか。HR(人材)分野の第一人者、八木洋介people first(ピープルファースト、東京・世田谷)代表の視点から、困難な時代を生き抜くヒントを提供する。連載の3回目は、海外企業がなぜ経営の力点を変えたのかについて考えた。

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コロナ禍の厳しい環境下、米国の失業率は一気に2けたになりました。一方で、モルガン・スタンレーが「レイオフはしない」と公言したように、思ったほど、大規模なリストラを実施しない会社もみられます。2008年のリーマン・ショック後、米国では金融機関を中心にリストラの嵐が吹き荒れたにもかかわらずです。

わずか10年ほどの間に、なぜこんなにも違いが生じるようになったのでしょうか。「米国型の資本主義が転換点を迎えた」からだと思います。米国には「ビジネス・ラウンドテーブル」という主要企業の経営者らが参加する経済団体があります。この団体が19年8月、これまでの「株主第一主義」から脱却し、全てのステークホルダー(利害関係者)に配慮することを宣言しました。声明には、同団体の会長を務めるJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)をはじめ、アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOなどの著名経営者が名を連ねています。