カスハラは従業員の心身を傷つけかねない(写真はイメージ) =PIXTA

「小売店などの店員が、お客さんからのひどい苦情や暴言に悩むカスタマーハラスメント(カスハラ)が増えているんだって」「なぜだろう。解決策はあるのかな」

カスタマーハラスメントについて今回初登場のバーチャル・キャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが石鍋仁美編集委員に聞きました。

日比くん「どういう行為がカスハラになりますか」

広く顧客からの嫌がらせを指します。暴言、脅迫、長時間の拘束、同じ苦情の繰り返しなどが代表例です。流通・サービス業などの労組でつくるUAゼンセンが2020年夏にサービス業の従事者に尋ねたところ、直近2年以内に迷惑行為の被害を受けた人は56.7%もいました。カスハラが「増えた」と感じる人は46.5%と、「減った」の3.3%を大きく上回ります。

厚生労働省の調査では、被害を受けた人は小売り、飲食、娯楽、生活サービス業などに多く、消費者の身近な場で起こっていることがわかります。

名瀬さん「被害が起きている場所は店舗だけですか」

鉄道駅やタクシーの車内でも、以前からカスハラにあたる行為がみられていました。需要が拡大している在宅介護や宅配サービスでは、消費者の自宅が現場になります。

最近は作品展の会場で、女性の写真家や画家などが男性客につきまとわれる例も報告されています。

もともとサービス業の現場は非正規雇用のスタッフが多く、組織に被害を訴えにくい面がありました。近年はフリーランスや単発で仕事を受けるギグワーカーが被害を受ける例が増え、現場も個人宅などへと広がっています。こうした点も、問題の全体像を見えにくくしています。

日比くん「どうしていま増加しているのでしょう」

いくつかの理由が考えられます。手軽に情報発信できる携帯端末の普及や、飲食店を客が評価する口コミサイトの登場によって、お店への中傷は広がりやすくなりました。

孤独な中高年の増加も背景にありそうです。スーパーマーケットの団体によると「社長を呼べ」などと無理難題を言って店員を威嚇し、ストレスを発散するのは社会的な階層の高い人に多いそうです。

こうしたところへ新型コロナウイルスの流行が重なり、人々のストレスや不安が一気に高まりました。UAゼンセンの調査では被害経験者の3割以上がマスク欠品への怒りや店内でのマスク着用拒否など、新型コロナ関連の迷惑行為を受けていました。

別の消費者調査でも、店などでカスハラを見聞きする頻度がコロナ流行前と比べ2.4倍に急増したとの結果が出ました。テレワークの進展もあり、職場や繁華街に出かけず自宅周辺で買い物を済ませる人が増えた結果、身近な場でのハラスメント多発につながっているようです。