子どもの花粉症、免疫療法の効果高く 貼り薬も利点

■免疫療法は子どもがより有効な可能性も

以前、花粉症は思春期以降にかかる病気だったが、現在では小学生の花粉症は珍しくない。京都府の小中学校を対象とした研究で、1994年から2008年の間にスギ花粉症にかかっている子どもの比率が、9〜13%から25〜29%と大幅に増加したことが明らかになっている。

スギ花粉症のシーズンは、受験や学年末試験、卒業・入学などの時期と重なるので、症状を抑える適切な治療が必要となる。特に、受験期の子どもでは、眠気などのインペアードパフォーマンスが起きにくい治療法が望ましい。このため、本番に支障がないように、花粉シーズンが近づいたら早めに受診して、医師や薬剤師にもよく相談し、薬の相性も確かめておくと良さそうだ。

アレルゲン免疫療法も子どもの花粉症に対する治療選択肢の1つだ。大久保氏は、「免疫療法は低年齢で始めると保護効果が大きく、スギ花粉に対する免疫を変えることができる可能性が大人よりも高い」と期待を示す。

なお、花粉症治療に用いられる抗ヒスタミン薬の適応年齢は薬ごとに違う。臨床試験などで安全性が確認された年齢範囲が異なるためだ。ほかの薬同様、親が自分に処方された花粉症薬を子どもに使い回すのは控えた方がいい。

◇  ◇  ◇

家庭でできる花粉症の対策は、「できるだけ花粉を浴びない」ことに尽きる。医師向けの鼻アレルギー診療ガイドラインでも、花粉を体に入れないための対策をまとめている。こうした情報を活用してつらいシーズンを乗り切ってはいかがだろう。

なお、今回取り上げた抗ヒスタミン薬や舌下免疫療法の薬は、ほかの多くの薬と同様、原則として妊娠中や妊娠の可能性がある場合、授乳中には服用できない。また、薬によって肝臓や腎臓などの臓器への負荷が異なるので、持病がある場合や別の薬を服用している場合は、受診時にお薬手帳を持って行くなどして、よく医師や薬剤師と相談して、安全な薬を選んでもらおう。

本記事で取り上げた新薬のほか、鼻や眼の症状がひどく、満足に眠れない、薬の効果もないといった重症の花粉症に対し、花粉症の症状を起こす仕組みをブロックする抗体医薬の開発が進められている。登場までにはまだ時間はかかりそうだが、つらい思いをしている患者さんには朗報だろう。

家庭でできるスギ花粉の回避法
1.花粉情報に注意する。
2.飛散の多いときの外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
3.表面がけばだった毛織物などのコートの使用を避ける。
4.帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
5.飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。
6.飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
7.掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。
(出典:鼻アレルギー診療ガイドライン2016)中沢真也
東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。日経BP社入社後、PC系編集部を経て2000年から同社医療局勤務。日経メディカルオンラインの前身に当たるMedWave編集長など。2018年8月からはフリーランスのライター/エディターとして活動中。同時に慶應義塾大学SFC研究所上席所員として、医学・健康関連のコミュニケーションについて研究・コンサルティング活動を進めている。


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